王様と私 2/3


ここは宮殿の中の王様のお部屋

「あーつかれた」

沖田は天蓋付きの大きなベットにうつ伏せにダイビングする。

先ほどまで千鶴を自分の専属メイドにしたことを家来達に散々怒られていたのだ。
家来と言っても彼等には上下関係は無い。それはというものの、沖田が王様になったのは12の頃で、先代の王、もとい沖田の父とお妃の母共々同じ時期に流行り病にかかってしまい、それからというもの、王家の血筋を絶やしてはいけないということでまだ幼い沖田が王になったのだが、12歳の沖田には一国の未来を背負うのは荷が重すぎると言うことで先代が生きてた頃から代々王家に使える信頼厚い家来達、近藤、土方、に沖田の世話係件、国の政治を任せたのだ。
子供の頃から近藤には懐いていた沖田だが、なぜか土方は気に食わなく、嫌がらせばかりしていて、ドライな関係でした。

そして今さっきまで二人(ほぼ土方)に勝手な事をするなと三時間程説教されていた。


「あの人血管切れて死ねばいいのに」

なんだか物騒な言葉が聞こえたが千鶴はスルーし、問いただす。

「やっぱり止めた方がよろしいのでは…私は首でも構いませんし。」

仕事は探せばたくさんある。尊敬する父様が進めて下さった所だが仕方がないから諦めよう。そう思っていた。


「何言ってんの?もう君は僕の専属メイドに決まったんだからだーめ。逃がさないよ。」

「で、でも今までの世話係はあのお二人方だったみたいですし、私なんかがあのお二人に代わってそんな大役…」

「いいんだよ。近藤さんにはいつまでも甘えてられないし、あの人には家庭もあるしね。ずっと面倒かけさせれないよ。土方さんは口うるさいからさっさと離れたいだけ。僕は君の事もう気に入っちゃったから新しい専属メイドは君に決まり。」


気に入った…

なんだかさきからえらく気に入られてしまったが一体自分の何が気に入られたのだろう。
頬を若干染めながら聞いてみる。

「どうして私を専属メイドに…?」

「君面白そうだから。イジリがいが有りそうだよね。いい退屈しのぎが見つかったな〜と思って♪」

この人ホントに王様なんだろうか、ある意味すごい人だなぁ。

「あ!あの、ところで私はどこで寝ればよろしいでしょうか?使用人部屋が与えられるって聞いたんですが。」

「君の部屋はここ。朝昼晩ずっと一緒に生活するから。」

「ええええええ!!ここここでですか!?」

「うん。そ、可愛いネグリジェ用意させたからそれ着て一緒に寝ようね。だいじょーぶ!何もしないから!」

「でもっ、身分も違いますし王様と使用人が同じベットだなんて…」

「王様の僕がいいって言ってるんだからいいよ。それよりそのメイド服も可愛くて似合うけど早くこのネグリジェに着替えておいでよ。脱ぐの手伝う?」


「一人で着替えられます!」

「残念だなぁ」

奥の個室に入って千鶴はネグリジェに着替える。

「着れた〜?」

「まっ、まだです!」

5秒後…

「もーいー?」

「まだです!!」


そんなに待ち遠しいのか…
千鶴はせっせと着替え扉を開ける。

「着れました」

ベットに横になりながら本を読んでいた沖田は起き上り、まじまじと千鶴のネグリジェ姿を観察する。レースやフリルやリボンがたくさん付いてる純白のネグリジェだ。

「うん。似合う似合う。おいで」

にこにこと手招きしながら千鶴をベットに呼ぶ。

「なんもしないから」

ためらってなかなか来ようとしない千鶴に自分は安全だと伝え腕を掴み引き寄越す。

「きゃっ」

布団に二人でくるまり沖田は千鶴を抱き寄せる。

「うん。抱き心地は合格。明日からよろしくね毎日ずーっと一緒だから」

「!!!っは、はい…」

我が儘な王様と新米メイドの千鶴の1日目の幕は閉じた。
明日から頑張ろうと目の前の綺麗な寝顔でスヤスヤ眠る王様に誓うのだった。









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