湯上がりの災難 1/2


※酔っ払い沖田さんと土方さんにひたすら千鶴ちゃんがセクハラされる話。微裏表現有り。あと誰とくっつくとかはないです。ギャグを目指したつもり。





湯浴びを済ませ、千鶴は自室に戻ろうとしていた。最近は湯に浸かる事が出来なかったため、桶に湯を張り手ぬぐいで体を拭くことしか出来なかったからここ数日の汚れを綺麗サッパリ流せた事で千鶴は鼻歌を歌いながら夜の屯所の廊下を歩いていた。

真っ暗な廊下に、一筋の光が襖から漏れている。土方の部屋だ。何気なく隙間から覗いてみると、土方と沖田の話声が聞こえた。なぜこんな時間に?と千鶴は思った。土方の眉間のしわを見る限りあまり雰囲気は良くないようだった。

『なにか新選組であったのかな…?』



「おい総司。今日こそはてめぇにガツンと言う。なぜ俺の部屋にまきびしをまいた?」

「やだなぁまきびしなんてまいてませんよ。ただ山崎君に借りて持ってたまきびしをつまずいてばらまいちゃっただけですよ。」

「なんでてめーがまきびし借りる必要があるんだ!それに俺の部屋は閉めてたはずだ!!」

「あれ?そうでしたっけ?」

どうやら沖田が土方の部屋にまきびしをまいたようで、ワザとやってもめているようだ。

「あ、千鶴ちゃんだ。」

ギクリ!

とても会いたくないタイミングで気付かれてしまった。
沖田は千鶴の存在を襖の隙間から見え、知ったのではなく得意の気配を読み取る事で気付いた。こんな事ならさっさと自分の部屋へ戻れば良かったと千鶴は激しく後悔した。

「テメェはこんな夜中に何してやがんだ。盗み聞きか?」

「ごっ、ごめんなさい…たまたま通りかかって…」

ギラリと土方の鋭い眼光が千鶴を睨む。

「千鶴ちゃんそんなとこ突っ立ってないで中おいでよ。」

「おい、何呼んでやがる。ガキはさっさと寝ろ!総司てめーは罰として一週間便所掃除だ。」

「そんなのしませんよ。僕はたまたまつまづいちゃっただけだって。悪気があった訳じゃないんだから。」

「思いっきり悪気あっただろーが!!」

沖田と土方が段々と険悪な雰囲気になってきてどうしようと千鶴は困り果てる。

「あ、あの…」

「てめぇがまきびし巻いたせいで怪我しただろーが」

「え、新選組の副長ともあろう方が足下に落ちてたまきびしにも気付かなかったんですか?やだな…僕そんな人の下で働くなんてごめんです。今すぐ副長やめて下さい。僕がなります。」

「仮にお前が副長になったら新選組は終わりだな。」

「あの…もう言い争いは止めてそろそろお休みに…」

「千鶴ちゃんはどう思う?こんな人に綱道さん探しなんてまかせられないよね。」

「へ!?」


沖田さん、そこで私に話を振るんですか…


「千鶴はっきり言え!総司みてーな腹黒い奴に新選組一番組組長は合わねーってな!」

「え、いえあの…」

二人の端正な顔が千鶴の目の前に並ぶ

『どうしようどうしようっ!下手に意見したら火に油だしっっ!』

「ほら千鶴ちゃんどうなの?言いなよ」

「おら千鶴!吐け!!」


二人とも怖い…今にも切りかかってきそうな眼で私を見てる…何で私がこんな目に!

と、千鶴が心で叫んでいると、ふと視界に入ったのが土方の部屋の隅に置いてある大きい酒樽に描いてある『鬼瓦』という文字。

まさに…

「お…鬼瓦…」

「あ?鬼瓦?」

「あ、もしかしてあのお酒の事?」

『鬼瓦』という名前のお酒が目に入り、今まさに二人の顔が鬼瓦みたいに見えてしまった千鶴はついつい口に出してしまったのだが、それの発言がさらによくない方向に導いてしまう。

「このままじゃ拉致があかないし、ねぇ土方さん。飲み比べで決着を付けましょうよ。」

「あ!?」

「あの『鬼瓦』ってお酒この間島原に盗っ人が忍び込んだ時、たまたま新選組がいて捕まえたお礼として貰った結構いい値の物ですよね。量もあるし、どっちが先に酔いつぶれるか飲み比べ対決で決着って事でどうですか?」

「それ俺が不利…」

「土方さんはたしかお酒飲めないんじゃなくて飲まないだけですもんね?いい大人がまさか飲めないだなんて…ねぇ千鶴ちゃん?」

「えっ!」
(沖田さんまた私にふってきて…わざとだ。絶対)

「おぅ!やってやろうじゃねーか!負けたら二度と今みたいな態度と偉そーな口たたくな!」

「じゃあ僕が勝ったら副長止めてください。」

こうして、沖田と土方の飲み比べ対決が始まった。







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