食物連鎖 1/1


世の中とは弱肉強食だ。

弱い者が死に、強い者が生きる。どんな生物だって敵はいるんだ


ま、僕の弱点といえば近藤さんしかないけれど、だったんだけれどもね…





「千鶴ちゃんお団子食べる?」

僕は縁側に千鶴ちゃんを呼び出し、先ほどの巡査でこっそり買ったお団子を千鶴ちゃんに見せた。

「わぁ!ここのお団子私大好きです」

「だから買ってきたんだよ。食べるよね?」

「はい!ありがとうございます!」

ニッキにみたらしにあんこ。
千鶴ちゃんはどれを食べようか悩みながらあんこのお団子を選び、食べた。

「おいしいです!」

「ほんと?良かった」

なぜだかわからないけれど最近千鶴ちゃんとこういう時間を過ごすのが多くなった。
たわいもない話をしながらこうしてお茶して。

きっかけは僕の病気を千鶴ちゃんに知られてからかな。
彼女が僕の事たまに泣きそうな目で見てくるからなんだかついこうしてお菓子を与えて慰めてやってしまう。
お菓子で機嫌直るとか千鶴ちゃんってほんと食い意地はってるよね。

「沖田さんは食べないんですか?」

もぐもぐ団子を頬張りながら串に付いたあんこも綺麗に食べきって聞いてくる。

「食べるよ。」

千鶴ちゃんは強くなった。
や…最初に出会った時から強い子だとは思ったけど、16, 7の少女が男装して江戸から京まで来るなんて並大抵の事じゃないのはわかってる。

僕の方が強いけどね。
ちなみに一番強いのは近藤さんだけど!

でも僕は最近刀をにぎるのが辛くなってきた。
前はあんなに軽かったはずなのに今は重くて不浄浪士と2,3人殺りあっただけでひどく疲れる。
近藤さんの役にたちたいのに身体がいうことをきかない。

僕はもう弱くなってきている。前みたいには闘えない…

「沖田さん。みたらしとニッキどちらがよろしいですか?」

「みたらし」

「はい!どうぞ」

どうぞってこれ僕が買ってきたものなんだけどね。
あ、なんだろう…今ものすごく千鶴ちゃんを苛めてやりたい。
千鶴ちゃんは強いけれどたまに凄く弱くなる。


だから弱い者は強い者に食べられないと…

ねぇ?

「千鶴ちゃんあんこ付いてるよ?」

「へ?」

千鶴ちゃんが僕を見た瞬間、唇めがけて僕は千鶴ちゃんを食べた。


「!?」
『あんこの味…』

「おおおおおおきっ…沖田さっ…!!!」

口をパクパクさせながら真っ赤になって持っていた団子の串を落とした。

「うん。ついてたから」

「だ、だからって…」



世の中弱肉強食。
弱い者が強い者に食べられるのは当たり前。

だからといって千鶴ちゃんを食べる強い者は僕だけだけど。


でもたまに千鶴ちゃんって僕より強い時があるから…
その時ばかりは僕は千鶴ちゃんに適わないだろう

だからこれは共喰いになるのかな?


それならおあいこ…

「千鶴ちゃんもう一回…」

「え!」

今は無性に君が欲しくてたまんない。
僕は君を食べる。
だから君も僕を食べてね。
いつまでも僕の味を忘れずに。

何度も千鶴ちゃんの唇を啄み、あんこの味が消えてからも食べ続ける。

いつの間にか近藤さんと同じくらい大切になった女の子。

「んぅ…っ沖田さっ…」

「あ、ごめんね苦しかった?」

「な、なんで…」

「千鶴ちゃんが弱いから食べられちゃうんだよ」

「弱い?」

意味がわかんなさそうな顔して聞く。
そりゃそうだ千鶴ちゃんに僕の考えは伝わらないもんね。

「食物連鎖ってことかな?」

「食物…連鎖?」

いつまで君や近藤さん、新選組に居れるかわからないけど君を喰らうのは僕で、僕を喰らうのは千鶴ちゃん、君だけだ。

これからもいつまでも強い君でいてよね。


そして僕を守って。






END


あとがき
食物連鎖…なんか食物連鎖とは意味ちがうような内容になったけどかっこいいからいいか。うん(-.-;)

私にしてはちょいシリアスなお話でした。
私シリアス苦手なんですけれどもね。
思いつきで1日でポンと書いちゃいました(笑)

最初は食物連鎖、軽いノリの若干裏的な感じを予定してましたが暗くなった(´Д`;)

沖田さんの弱々しく千鶴ちゃんにすがる感じが好きです(・∀・)
最後まで読んで下さってありがとうございました!!







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