小さくなってしまいました 3/4
「さ、バンザイして脱がせるから。」
壁へ追いやられでかい沖田に迫られる幼児千鶴。目にはうっすら涙が浮かんでいる。
「うぅ…いやですぅ…」
「もぉ千鶴ちゃんちょっとわがままなんじゃない?あれいやこれいやって。」
「これのどこがわがままですか!脱がされそうになって嫌がるのは当たり前の事です!」
「脱がなきゃお風呂入れないじゃない」
「1日や2日入れなくても平気ですから…沖田さんだけ入ってきて下さい…」
「僕が千鶴ちゃんと一緒に入りたいの!」
「無理ですやめて下さい」
がしっ!
「きゃっ…やっ、何すっ…」
「強行手段」
と言って沖田は千鶴の帯をほどき着物を脱がされ、あっという間に肌着だけにされてしまった。
「な、なにするんですかぁ!」
「お風呂に入るんだから着物着たままはいけないでしょ」
「いやぁー」
間一髪、沖田は肌着を脱がし見えそうな所で千鶴に大判の手ぬぐいを巻いた。
「へ…?」
「あのね、いくら僕でもこんな小さい身体になんかしようと思わないよ。いつもの千鶴ちゃんの身体なら話は別だけど。」
「いつもの私なら何かされてたんですか…」
「うん。」
『沖田さんってやっぱり危険だ』
戻ったときが怖い千鶴であった
「さ、僕も脱ごう。」
シュルシュルシュルと自分の帯をほどき着物を脱いでいく沖田に千鶴はついていけず慌てて目を両手で隠す。
「あはは、千鶴ちゃん顔真っ赤」
脱衣所から湯船への扉を開ける。
「いい湯加減だね。千鶴ちゃん熱くない?平気?」
「へ、平気です」
桶で千鶴に掛湯をしながら慣らし湯船に浸かる。
「はぁ〜極楽極楽♪」
沖田が湯船の縁に肘をかけて風呂を存分に堪能している隣、千鶴は居心地が悪そうにソワソワしている。
それもそうだ、見た目は五歳児だが中身はまだまだ多感な年頃の少女なのだから自分は裸同様の格好に隣には裸の男性(千鶴に気遣い腰に手ぬぐいは巻いているが)そして一緒に湯に浸かるなんて千鶴にはとんでもない出来事だ。
「ちーづるちゃん♪」
「きゃっ」
突然後ろから沖田が抱きついてきた
「小さいな〜足とどく?この身長なら座れないから僕の膝の上に座ろうね。」
「けけけ結構ですから!沖田さん下ろしてくださいっ!」
「やだ、抱っこしたい。心配しないでよ何もしないから」
何もしないと言いつつ、千鶴の柔らかい頬に何度も口づけ、頭を撫でてくる。
「きゃあっ…ちょっ沖田さん!」
***********
「あ〜い〜お湯だった♪」
火照った身体で小さい千鶴を抱きかかえ深夜の屯所の廊下を歩く。
物音をたてないよう千鶴の部屋の襖を開け中に入る。
「あとは寝るだけだね。」
後ろ手に襖を閉め、不適な笑みを浮かべながら千鶴を下ろし見つめる。
「そ、そうですね…私はもう寝ますので沖田さんも自室へ戻って休まれて下さい」
「もぉ〜何言ってるの千鶴ちゃん。まだ君は元に戻ってないんだから僕と一緒に寝るに決まってるでしょう。さ、お布団敷こうか。」
「私ひとりで寝れますひとりで寝かして下さい」
「だめだめ、千鶴ちゃんが元に戻るまでお世話するのが僕の役目だから。」
テキパキと押し入れから千鶴の布団を敷いていく。
「灯り消すよ」
灯台に息を吹きかけ火が消えるあたりが真っ暗になり目が暗闇になれだいたいどこに沖田がいるのか認識できるようになった
「沖田さん布団が一組しかありませんがまさか一緒に寝るんですか?」
「うん。千鶴ちゃん小さいから一組で充分だよね」
「そういう問題でしょうか 」
「そういう問題だよ 」
「さすがにだめです!お風呂も充分問題でしたがいくら私が小さいからっていけないことです」
「千鶴ちゃんさきからそればっかだけど期待してるの?いくら僕でも五歳児相手はきついかなごめんね」
「期待してません!変な事言わないで下さい!」
「わかったわかった戻った時にちゃんとお相手するから今日はもう寝ようね。」
「沖田さん変な勘違いしないでください違います私はっ…!」
「もー千鶴ちゃんうるさい。僕眠たいから寝るから千鶴ちゃんも寝るよ」
「あっ!」
腕を掴まれ布団に引っ張り込まれると抱き締められ頭を撫でられる。
気持ち良く昼間の時と同様、段々眠気が襲ってきこの状況がどうでも良くなってきてしまい沖田の腕の中に千鶴は身を預けた。『一刻も早く戻りますように…』
そう願い事をして、京の夜空にひとつの流れ星がキラキラ流れていった。
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