小さくなってしまいました 2/4
「じゅあまずはそのブカブカの寝間着を着替えないとね」
他の隊士達は仕事に戻り、本日非番の沖田は千鶴の世話を任され今に至る。
「はい。でも沖田さん子供用の寸法の着物なんてあるんですか?」
「う〜んないから困ってるんだよね。とりあえず古着屋で2・3枚買ってくるか」
「お手数おかけ致します…」
しばらくして…
「千鶴ちゃん着れた?」
「はい!」
襖を開けて沖田が中に入り千鶴の子供姿の着付けを確認する。沖田が買ってきた着物は安い古着だが淡い桜色の生地に桜の花びらが散りばめられている女の子らしい着物に萌黄色の帯だった。
「うんやっぱり似合うね。僕が想像してたよりも可愛い」
「あ、ありがとうございます私なんかのために、二日間だけなのに…」
「僕が見たかったからいいよ。あ、髪の毛も下ろしたまんまだけどなんか付けたいな」
沖田に素直に可愛いと言われ千鶴は顔を真っ赤にする。
「千鶴ちゃんこっちおいで」
手招きして小さい千鶴を沖田は自分の胡座をかいた膝の上に座るよう指示した。
「あの…沖田さん子供扱いは…」
「いいからほら」
「あっ」
千鶴の脇に手を入れ軽々しく持ち上げると自分の膝の上に座らせる。
近くに置いてあった千鶴のくしをとり、後ろから髪をとかす。
「千鶴ちゃん髪サラサラだね」
「ありがとうございます…」
キュッと首よりやや下で髪を縛り垂髪にする。
「できた。」
「この髪紐…」
「着物買うときに見つけたからついでに。小さい千鶴ちゃんに似合いそうだったから」
「ほんとにありがとうございます!!」
満面の笑みで嬉しそうに千鶴は沖田にお礼を言う。
『沖田さんからの贈り物…』
「可愛いね。君がほんとに小さい頃もこんなかんじだったのかな」
なでなでと、千鶴の頭を撫でながら褒めまくってくる先程からの沖田の態度。
まるで小さい頃父親の綱道にあやされていたころを思い出し懐かしく撫でられる手が気持ちが良く眠気が襲ってきた。
「千鶴ちゃん眠いの?」
「…んぅ…」
『心地いいな…沖田さんの手あったかい…』
ゴ――――――ン
陽が沈み巳の刻をつげる寺の鐘の音が鳴り響く。
「ん…」
『あれ…?私寝ちゃったのかな…!?』
はた、と気が付くと沖田にがっしりと抱き締められ寝転んでいた。
「ひゃあ、おおお、沖田さん!」
真っ赤になり動揺するが目の前の沖田は珍しくぐっすりと眠っていた。
『顔が近い・・・』
ギュッと抱き締められているためかなり間近に沖田の顔がある
『じっくり見たことなかったけどやっぱり沖田さんってかっこいいな…すごく整った顔立ちをしていらっしゃるし…あ、睫毛長いなぁ…髪の毛と同じ綺麗な栗色…』
「ん〜〜…」
『わっ!起きた!?』
「あ、千鶴ちゃん起きてたの?」
眠たそうに片目を擦りながら問いかけてくる沖田。
「はっ、はい!今起きました!」
「そろそろ夕飯だね部屋に持ってくるから一緒に食べよっか」
「はい!」
夕飯はいつもとあまり変わらず焼き魚に菜っぱのおつゆ、漬け物だった。
「千鶴ちゃんお魚ほぐしてあげようか?小骨取る?」
「…いえ、自分で出来ます…」
「千鶴ちゃんお味噌汁熱くない?フーフーしてあげようか?」
「いえ平気です」
「千鶴ちゃん手ちっちゃいからお箸持てる?あーんしてあげようか?」
「自分で食べれます!!」
何かと世話焼きの沖田。楽しい夕飯も終わり
「さて、じゃあ次はお風呂に入れないとね。」
「へ?」
『お風呂・・・?』
「うん。入るでしょう?今の時間ならみんな寝静まってるから誰もいないから二人でのんびり入れるね」
「二人?」
「二人。」
「ちょっちょ…沖田さん!?あの私が子供の姿だからってそこまで気を使わなくていいですよ!?というかむしろ二人でお風呂は無理です!」
「気なんか使ってないよ僕が一緒に入りたいから入るだけ。じゃ行こうか」
「沖田さん!!沖田さん!!沖田さん!!いくら子供の姿だからって一緒にお風呂はどうかと思います!というか私が駄目です!」
「も〜わめかないの。聞こえちゃうでしょ。さ、行くよ」
「きゃっ…」
口を塞がれ抱っこされ、二人はお風呂場へと向かって行った。
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