湯上がりの災難 2/2


「あの…お二人ともそろそろこの辺にしてお休み下さい。明日も忙しいですし…」

「あ"〜…」

「んっ…うっ!」

一刻ほど経過し、そろそろ胃袋が限界を迎えた頃千鶴はストップを掛けるが、どちらも止める気配はない。今にもリバースしそうだが手は休めず杯を口に運ぶ。

「千鶴ちゃんこうなったのは千鶴ちゃんのせいでもあるんだからね、ちゃんと応援してよ。僕を!」

「えっ!私は関係ないですよ」

「おめぇがハッキリ言わねーのがわりぃ責任とって最後まで付き合え」

「そんな…」

いつもの土方ならこんな子供くさい理不尽な言い訳は言わないが酒が入ると人格が多少変わってしまうため何を言っても無駄だ。つまり酔っているのだ。


「ねぇ千鶴ちゃんちょっとこっち来て」

杯片手に沖田が千鶴に手招きする。

「何ですか?」

「ちょっとお腹が苦しいから横になりたいんだ。千鶴ちゃんの膝貸してよ」

「なっ…だだだだめです!貸しません」

「え〜ケチ。」

「……………おい千鶴!」

「はっ、はい!何ですか土方さん!」

「耳貸せ。」

「は、はぁ…?」

「沖田さんに聞かされない内緒話でもするのか」そう思い土方に耳を近付けると…

かぷっ

「きゃあああああああああ」

「うるせぇ」

「なななななっ、何をっ…」

「あ?目の前にうまそうなもんがあれば喰うのは当たり前だろうが」

「ちょっと土方さん僕の千鶴ちゃんになにしてんですか。そう言うことなら僕も遠慮なしで行きますけど!」

言うが否や、沖田は素早く千鶴を後ろから抱きしめ先ほど土方に噛まれた耳とは反対側の耳朶を…

はむっ
ペロッ…

「ひぃ!!!!!!!」


「千鶴ちゃん湯上がりだから良い匂いするね。」

千鶴の首筋に顔をうずめて匂いをクンクン嗅ぐ。
千鶴の甘い匂いが心地がよい。

「おい総司。横入りすんじゃねー」

「横入りしてきたのは土方さんでしょう?」

バチバチバチッとまた二人の間に火花が散る。

(沖田さんと土方さん酔っているからこんなこと…どうしよう逃げたい。)

はたまた迷惑な千鶴には二人の喧嘩に巻き込まれ災難に会ってしまった。もうこうなってしまっては止められない。第二ラウンド開始だ。そしてその主旨はどちらが千鶴をよりドキドキさせるかに変わってしまっていた。

「千鶴ちゃん暴れないでよ。出来ないでしょ。」

「な、何する気ですか!」

「ん〜ナニしよっかな〜」

明らかに何かいやらしい事をする気だ。

「千鶴、こっちこい総司なんかと喋んな」

こいこいと手招きして今度は土方が千鶴を呼ぶ。

(この流れで行ったら明らか危険…)

と、ためらっていたが次の瞬間土方の眉間のしわがいつもの三倍に増えたため素早く沖田の腕の中から抜け、土方の元に行った。

「ちょっと千鶴ちゃん!」

「千鶴!」

ギロッと土方の眼光がひかる。

「ひっ…は、はい…」

「脱げ」

と、言った瞬間土方の左手が勢い良く千鶴の寝間着の裾をたくしあげた。

「きゃあああああ!なにすっ」

「脚見せて見ろ。いつも隠しやがって」

グイグイと太もものギリギリラインまで裾を捲り上げる土方の左手。それを必死に阻止しよう抑える半泣きな千鶴。

「え?そういうの有りなら僕も」

沖田が千鶴の脇から手を入れ…
ペタペタ…

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…」

「いつも男装姿の千鶴ちゃんって胸ツルぺタでしょう?だからサラシ巻いて潰してるのかなと思ったんだけどなんだ。ただの貧乳か」

右からは人の寝間着の裾を捲ってくる男。左からは無造作に人の胸を撫で回し挙げ句の果て貧乳だと罵ってくる男。
千鶴は余りの扱いの酷さに泣きたくなってきた。

「うっ、ひっく…止めてくださいぃ〜」

「泣かないでよ千鶴ちゃん。おっぱいなんていつか大きくなるから。なんなら僕が時間をかけて毎晩大きくしてあげるけど」

なにをどうやってそう解釈されたのだろう…
いや、彼の場合は分かっていてやってるんだ。


スルリ

「ひゃんっ!」

土方が千鶴の脚を撫で回している。

「やだやだやだやめて下さい!」

「細せーな。細くて白くて柔らけぇ」

足首から太ももにかけてゆっくりと一撫でして何度も往復する。撫であげる度に千鶴の白くて柔らかい太ももがジタバタともがくが、土方の片手で抑え込まれているため抵抗できない。

「んっ…〜〜!!」

くすぐったいようなよく分からない感覚が千鶴を襲う。

「僕も触りたい」

沖田も参戦し、新選組の副長と1番組組長が一人の少女の脚を両方から撫で回す。その間、反対側の手は千鶴の腰に手を回したり頬や髪を撫でたり口付けたり、端から見ると襲っているようにしか見えない。

「言い加減にして下さい!!私をお二人の喧嘩の道具に使わないで下さい!土方さんも沖田さんも悪酔いし過ぎです!」

「酔ってないよ〜?」

「千鶴、お前脈が速くなってんぞ。俺に触られて感じてんのか?」

「いや、僕のせいでしょ」

「か、感じてなんていませんっ! 」

「じゃあ千鶴ちゃんの胸に聞いてみよう」

ポフッと沖田の手のひらが千鶴の胸に当てられる。

「やっ」

「あっ鼓動速くなった」

「にしても小いせいな…」

「ほっといて下さい!あとやめて下さい!」

土方も触ってきた。

(もうやだ!何で私がこんなめに!酔ってるからって酷すぎる)

段々とエスカレートして来る二人の『千鶴ドキドキ合戦』ただ単に千鶴にセクハラをするだけの戦いだが二人にとってはあくまでも、勝負なのだ。だから何をしても許される…
寝間着の上から千鶴の心臓に当てられていた沖田の手が合わせ目からスルリと中に入り込む。

「直接聴きたいな。」

「!!ほんとに…やだぁ!」

とうとう限界が来た千鶴が本格的に泣き出してしまった。

「うっ、ふっ‥ひっく…」

「あ…」

わずかだか沖田と土方にも罪悪感が芽生え、沖田はとりあえず手を引っ込めた。

「あ〜…千鶴、泣くな。」

「ふぅっ…嫌です泣きます!土方さんと沖田さんのせいでお嫁に行けなくなったらどうしてくれるんですか!」

よしよしと二人が千鶴の頭を撫で、背中をさすったりしてあやしながらご機嫌をとろうとするが千鶴の怒りは収まらない。

「そんときゃあ俺が貰うから心配すんな」

「僕が貰うから安心していいよ」

「………………」

嫌な予感がして千鶴の額に冷や汗が流れた。

「何言ってるんですか千鶴ちゃんをお嫁にもらうのは僕ですよ土方さんみたいな気難しくて頑固者は千鶴ちゃんが可哀想です。一生独身でいてください」

「おめぇみてぇなひねくれ者で腹黒い奴こそ千鶴を嫁に貰う資格なんてねーよ諦めろ。千鶴は俺んだ」

「じゃあ勝負ですね」

「おぅ、受けて立つ…」

第二ラウンドの幕が上がり再び千鶴は二人からセクハラの嵐が降りかかる。二回目とあらば、今度はセクハラ程度では済まなく、三人は朝まで部屋から出て来なかった。
翌日、千鶴は腰痛を訴え丸1日寝込み、沖田と土方は妙にすっきりした面持ちで隊務をこなすのだった。
千鶴の湯上がりの災難はまだ終わらない。





END


あとがき

裏ではないですが。セクハラされる千鶴ちゃん話。こんな感じな土千沖話前から書きたかったんです!((*´∀`*))
最終的に3p…←(殴)
ゴホン( - -)こんな感じの土千沖が延長線であってほしい。
沖田好きの私なので沖田ヒイキになってないか心配ですが。
最後まで読んで頂いて有難う御座いました!







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