二万打小説 | ナノ

 1/3の純情な感情と残り2/3の卑猥な感情 2/3




「お待たせ千鶴ちゃん」

約束通りピッタリの時刻に沖田は現れた。

「おはようございます沖田先輩」

「おはよう千鶴ちゃん」

改めて見て、街中の日の下の総司は格好良かった。初めて見た総司の私服は今時の男の子のファッションで明るい涼やかなデニムのシャツにのクリーム色の七分袖のパンツ、それに黒のハット。派手でなく無地でラフな服装だが中身が良い為際立つ。元々総司が格好良いのは知っていたが周りを歩いている男の子達と比べると一際目立つ。要するにイケメンなのだ。
総司のイケメン度を再認識し、この人が自分の彼氏なんだと千鶴は顔を赤らめる。


「ん?千鶴ちゃんお顔赤いよ?僕に見とれちゃったとか?」

図星だ。

「えっ、ちちち違います!ああ赤いのはっ、暑さのせいです!」

「ええ〜ほんとかな〜?」

「ううっっ!!!」

「ならそういう事にしといてあげる!ところで千鶴ちゃんも今日可愛い・・・・やっぱりその服君にピッタリだ」

「あ・・・・・」

そう、約束通り千鶴は総司に言われた通り総司がコーディネートした一式の服を着ていた。
白地に淡い爽やかな大輪の花がプリントされた膝丈のワンピースに、撫子色の薄手生地の半袖のカーディガンに淡黄色の低めのハイヒール。全体的に控え目で落ち着いた色合いが千鶴によく似合っていた。


「可愛い可愛い!可愛いなぁ」

「あありがとうございます・・・・」

普段の総司の気持ち悪さなどすっかり忘れ、千鶴は総司に誉められた事を喜びに耽た。
二人は自然と手を繋ぎ(恋人繋ぎ)歩き出す。

「どこへ行こうか?一応プランは考えてきたんだけど千鶴ちゃんはどこか行きたいとこある?」

「ん〜ー・・・あ!この間テレビで紹介されてた美味しそうなケーキ屋さんがあって、確かここら辺なんですけども、よければ行きませんか?」

「へぇ、いいね。僕の好きなミルクレープあるかなぁ〜」

「タルトとかも美味しいんですよ」

「決まりだね♪」


すれ違う二人組みの女の子達が羨ましそうに総司達カップルを見る。

「ね、あのカップル男の人超かっこいい〜」

「身長高いねー」

「女の子の方も小柄だけど可愛い人だよー」

「いいな〜なんか絵になるねー!」


良い意味での注目は恥ずかしいが悪い気分にはならなかった。隣の楽しそうな総司を見て千鶴は今日が来て良かったと思った。

ケーキ屋へ行き、雑貨屋や洋服屋巡りをし、お茶をしてアクセサリーショップに入った。

「かわいい・・・」

「なんか買ってあげようか」

「えっ!いえいいですよそういう意味じゃないですよ」

「僕が君に贈りたいだけ恋人でしょう?」

「あっありがとうございます・・・・」

「何がいいかなぁ〜ネックレスとか」

「なんでもうれしいです・・・」

「千鶴ちゃんコレは?」

総司が手に取ったのはハートをモチーフにしたピンク色の石のネックレス。

「あ・・・かわいい・・・」

「決まり。すいません会計お願いしまーす」

会計を済ませ総司はまっすぐ千鶴を見つめる。

「千鶴ちゃん後ろ向いて。付けたげる」

「は、はい・・・」

背を向け、ゴツゴツした少し骨ばった手が千鶴の首の髪をかき分け冷たいチェーンの感触が伝わる。千鶴は心臓が爆発するんではないかというぐらい動悸が早まる。

「ん、おっけ」

「ありがとうございます・・・・」

「やっぱり可愛いね。」





日が暮れかけてきた頃、総司は切り出す。


「そろそろ帰ろうか」

「へ?」

楽しい時間はあっという間。千鶴は今日のデートを満喫していて時間が経つのを忘れていた。

「あっ・・・もう暗くなってしまいますね・・・・」

まるで魔法が解けるかのようなシンデレラの気分だった。今帰るのはなんだか物足りないような・・・・

もっと沖田先輩と一緒にいたい・・・・・

千鶴は切り出す。

「あの・・・よろしければどこかで夕飯を食べて行きませんか?」

「ごはん?」

「はい・・・あのせっかく街の方まで来ましたしっ、美味しそうなお店がいっぱいありますしっ」

つなぎとめたく千鶴は少し必死だ。

「うん、いいね。僕もお腹すいたし。何食べよっか」

「あっ有難うございます!今調べますね!!」

総司が了承した事に喜びを隠せない千鶴は嬉しそうにスマホを取り出し界隈の食べ物屋を調べる。

「あっ、ここ手頃な値段ですし・・・」

「千鶴ちゃんはお料理得意な方?」

「へ」

いきなり切り出される総司の質問。

「はい・・・料理はいつも私が作りますのでそれなりには・・・」

「デパ地下にあるスーパーとかで美味しそうな食材あるからそこでなんか買っていって僕の家で食べない?」

「わぁ!楽しそうですね!」

「うん!決まり!」


今日の総司はいつもとはまるで別人。普段の気持ち悪いベタベタもしつこさも出ていない。千鶴は忘れていた・・・・・



********


総司の家。デパ地下で買った美味しそうな惣菜とオシャレな欧米のスーパーで買ったオーガニック野菜やドレッシングに変わった形のパスタとそれに乗せる具材。テーブルの上に買い物袋をドサッと置く。

「お家の人は居ないんですか・・・?」

「うん、ここは姉さんの家なんだけどね、今海外出張だから。」

「お姉さんのお家なんですか?」

「そうだよ両親は共に早くに亡くなっちゃったから年の離れた姉さんが引き取って今二人暮らしなんだ。」

「・・・・・・・・・」

意外な総司の過去を知り、今までの総司の異常な自分への執着心はここから来ているのではないかと思った。両親のいなかった寂しさをもしかしたら自分で補っているのかもしれない・・・・
そう感じた千鶴は総司の今までの見方が変わった・・・



「ワカメとパプリカのサラダとナスとベーコンのフェットチーネです」

「美味しそう!」

その他、デパ地下の惣菜の中華系やイタリアン系、和食系のおかずが食卓に並べられる。

「このサラダ美味しいね。」

「有難うございます!玉ねぎとパプリカはオリーブオイルで炒めてから乗せたんですよ。」

「この上に乗っかってるコーンフレークみたいなの何?おいしいね」

「フライドオニオンです。サラダに乗せると美味しくって、家でもよく入れるんですけど」

「美味しい美味しい!」

おいしいしか言わないがパクパク千鶴の料理を食べる総司を見て千鶴は安心した。好き嫌いが多い総司はたしか野菜も嫌いだったはずだがこの様子を見れば大丈夫なようだ。お世辞ではないのだとホッとした。

「パスタおいしい!」




********

20時。美味しい夕飯も終わり後片付けをし千鶴と総司はリビングでテレビを見ていた。

「そろそろ帰ろうかと・・・」

千鶴が切り出す。すると総司が・・・

「・・・・千鶴ちゃん家今日薫とお父さん家に居ないんでしょう?」

「え?はい・・・」

たしかに今日千鶴の父親は医者で研究会とやらで外国だ。兄、薫は親戚の家に泊まりに行った。だがこの事をなぜ総司が知っているのか・・・?


「私言いましたっけ?」

「ん?うん。覚えてない?」

「・・・・・・・・・・・・・」

総司に家庭の事を言った記憶はないがもしかしたら家の事情をよく知っている平助から聞いたのかも・・・・
千鶴はあまり気には止めなかった。

「そうですが・・・」

「ならさ、泊まりなよ今日」

「えっ、えええええええええ!!!」









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