二万打小説 | ナノ

 千鶴ちゃんの忘れ物E




「僕、いちごミルクとメロンパンとサンドイッチね。あとデザートにプリン」

「俺は緑茶を」

「私も緑茶で・・・大丈夫?」

「・・・・・うん。つーか総司多いよ!デザート減らせ!俺も昼飯買うんだからかさばるだろ!」

「無理。デザートは重要だよ。プリン食べたいし」

「チッ、このスイーツ男子め!」

平助は三人の分+自分の分でかなりの大荷物だ。そして端から見たらただのパシられた可哀想な奴である。

「がんば〜」

「ごめんね平助君・・・」

「じゃ、千鶴ちゃん僕らはここを通るとしようか」

「はい・・・・」

ドキドキバクバク
千鶴の心臓は緊張で速まる。

斉藤と沖田に挟まれ三人はこの人混みを掻き分けるように割り込む。

「えい!」

「あっ・・・」

「雪村、決して離れるな。」

むぎゅーと密着し千鶴の前には沖田、後ろは斉藤が千鶴の身を他の男共から庇う。食料を求める男子共は食に対する欲望の為他を押し潰しひしめき合う。

「あーも〜、ちょっと押さないでよ!」

「くっ、なかなか前に進めんな・・・」

グイグイグイグイグイグイグイグイ

「っ・・・!! 」

押されて押されて、沖田も斉藤もなかなか進めない。そんな密集した中に居る千鶴は二人に挟まれ総司の手が千鶴の胸を掴み、斉藤の脚は千鶴の脚と絡まり合いスカートも段々捲れる。

「っん・・・、あ!あぁっ・・・ハァ・・・」

二人に下心などない。密集しているからしょうがないのだ。

「あっ、沖田先ぱっ・・・、あんっ、手がぁっ・・・」

むぎゅむぎゅ

「え?」

「斉藤先輩っ・・・、やぁああ!そんなトコっ・・・」

もぞもぞ・・・

「ぬ?」

あっちやこっちや、裸に布一枚をまとっただけのような千鶴の格好。ぎゅうぎゅう密着し、薄い布は擦れて千鶴の敏感な部分を刺激する。さらに沖田と斉藤に挟まれ二人の腕や手や脚などが色んなトコロをかする。

(だめっ、先輩達の身体がどんどん絡まってきてっ・・・)

グイグイグイグイ
「あぁあぁあっ・・・ん、ハァハァア、やあだめぇ!だめぇぇっ!」

「千鶴ちゃっ・・・?」

「雪村?!」

グイグイグイグイグイグイグイグイグイグイグイグイ

「あああぁん!!!」




***

「あ〜、やっと買えた買えた!総司感謝しろよ!限定20個の幻の購買プリン入手したんだからな!」

「・・・あぁ、うん。どーもね」

ここは屋上。無事みんなの頼んだ商品を戦場から買い求め、両手いっぱい抱えて平助が三人より遅れてたどり着いた。

「・・・なんで三人が疲れてんだよ?一番苦労したの俺なのに」

「気にするな・・・」

三人共みんな顔を真っ赤にしながら何かを恥じている様子だ。脱力感がハンパではない。
千鶴は顔を床に伏せながらうずくまっている。

「・・・千鶴?大丈夫か?」

「う、うん・・・」

平助に気遣われながら千鶴は顔をあげる。

「なんかよく分かんねーけど飯食おーぜ?俺腹減った!」

「そうだね」

ムードメーカーの平助がその場の空気を変え皆、それぞれランチを広げる。

「はい、一君と千鶴は緑茶な!総司はサンドイッチといちごミルクにメロンパン、プリン」

「ありがとう平助君」

「すまない」

「サンキュー!」

「俺も飯食うーおおっと!」


今は平助の優しさだけが心の寄りどころ。平助はムードメーカーだがトラブルメーカーな気質も持ち合わせている。先程の出来事を知らない平助が唯一の千鶴の心の支えだったのに・・・
平助がやらかすまであと数秒。



つづく
(次回最終回)





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