バレンタイン 1/1


薄桜学園の男子生徒達は今日はなんだかソワソワしています。なんたって今日はバレンタインデーなのですから唯一の女子生徒にチョコレートを貰えないかと期待しているのです。



「今日はバレンタインだな!総司」

「そうだね」

「千鶴今年は何作んだろ?去年はトリュフで一昨年はブラウニーその前は生チョコそのまた前はチョコパイでそのまたまた前はパウンドケーキで」

「死ね平助!」

「あぁ、貴様は一旦死ねばいい」

「「「「「「「平助死ね!!!」」」」」」」

「ええええええ!?なっ、ひでぇ!あと一君居たの?つーかクラスのみんなまでひでぇええええ!!」

「幼なじみだからって調子のんないでくれるかな?」

「平助つけあがるのも対外にしろ。雪村は幼なじみだから故お前にやるのだ」

「どーせ幼なじみの義理チョコでしょう」

「いや…そうなんですけどね…ほら、今年こそ本命だったり」

「ないない。一生ないよ」

「幼少期を一緒に過ごした男女は兄妹や親子のように恋愛感情は生まれないらしい幼なじみは報われないんだ」

「平助乙!」

「ぐすっ…ひっく…」

そのとき1年A組の扉が開きました。

「おーい!千鶴いるかー?」

「あれ?左之さん?」

「原田先生今日は1Aは保健体育はありませんよ」

「一君何で知ってんの?」

「大抵他のクラスの男子生徒は千鶴ちゃんのブルマやスク水を見たいがために一週間の時間割りは把握してるよ。僕もね。」

「・・へぇ〜・・・・・」

千鶴ちゃんはモテモテなのです。

「時間割り間違えたわけじゃねぇよ。それに今昼休みだしな。今日はバレンタインだろ?可愛い生徒が俺に渡すの恥ずかしがるだろうから俺から行こうと思ってな。」

「さすが左之さんって感じだなぁ。男だ!」

「ただの思い上がりでしょう?」

「で、千鶴は?」

「トイレ」

「そうか…」

「おい、雪村はいるか」

また1Aの扉が開きました。

「土方先生」

「土方先生何しにきたの?」

「あ?いや…雪村に頼み事を…」

「とか言って今日がバレンタインだから下心丸出しで来たんでしょ」

「テメェに言われたくねぇよ総司!!」

「エロ方さんにはチョコあげませんよ千鶴ちゃんは」

「お前みたいなやつにも千鶴はチョコやんねーよ!」

そのときまたもや1Aの扉が開いた。

「我妻はいるか!」

生徒会の御一行です。

「千鶴一人でトイレ行かして大丈夫なのか?今日は男子共は浮かれてるから千鶴絡まれんじゃねーか?」

「いや、普段が普段だから。千鶴に話しかけた男子は剣道部とか教師が威嚇してるから大丈夫だろ?総司とか容赦ないじゃん」

「あたりまえでしょ」

「おい!話を聞いているのか!俺様が聞いているのだぞ!我妻はいるか!」

「うるさいなぁ。見たらわかるでしょいないよ!」

「風間。今の彼等の話からして雪村君はお手洗いに行っているようです」

「そうか……ならばここから一番近い女子トイレを見張るか。」

「「「「「「「ちょっと待て!!」」」」」」」

土方、原田、斎藤、沖田、平助、不知火、天霧が皆声を揃えて言う。

「なんだ?」

「なんだ?じゃねーよ!お前女子がトイレしてんのを扉の前で待ち伏せとか嫌われるぞ」

「ていうかそんな変態行為僕の千鶴ちゃんにやめてくれるかな。キモイ」

「お前んのじゃねーよ」

「ふん、なんだ羨ましいのか?」

「イタイイタイ…話通じないな…」

「痛いのか?なら病院に行け頭のな」

「うん、お前がな」

そのときまた1Aの扉が開きました。

「千鶴、いるか?」

「あ、薫だ。」

「千鶴いないのか…平助、千鶴はどこだ?」

「千鶴はトイレだよ」

「そうか…なら迎えに行こう」

「女子トイレだぞ?」

「兄妹なんだから問題ない」

「俺様も将来の夫だから問題ない。行く」

「いや、お前はダメだ。てか二人ともアウトだから。兄妹とかいう問題じゃないから。風間はもっと駄目だけど」

「平助うるさい女子他に居ないんだからいいだろ」

「俺様も未来の夫だ。問題ない」

「黙れ馬鹿野郎」

「兄上。我妻と同じ顔をしているのに何故こうも違う?」

「お前の兄上じゃねーばーか」

「薫いつにも増して口悪いな」

その時、またまた1Aの扉が開きました。

「おーう!千鶴ちゃんはいるかー?」

数学教師の永倉新八先生です。

「なんだ新八?お前まで何しに来たんだよ?」

「今日はバレンタインだろ?千鶴ちゃんがわざわざ俺の所にチョコを渡しに足を運ばなくてもいいように自分から来ようと思ってな!」

「理由が左之さんと若干似てるな」

「落ち込むぜ…」

「ところで薫は何しにきたの?」

「今日はバレンタインだから千鶴が持ってきたチョコレートを他の奴に渡さないよう横取りしに」

「なんて奴だ!」

「んな事したら千鶴が哀しむぞ?」

「ふん、黙れロリコン教師。お前もブラックリストに入ってんだよ。一見常識人なくせして俺の妹をエロい目で見てるくせして」

「エロ方さんエロ方!」

「総司黙れ!つうか生徒をそんな目で見るか!」

「お前古典の授業が終わる度に千鶴と話したいがため呼び出して色々雑用させてんの知ってんだよ。」

「なっ…、!?」

「へぇ〜……土方さんそんな事毎回させてたんだ…」

「うわぁ……」

「下心丸出しだな」

「土方貴様我妻に何をさせている…」

「うるせぇ!お前は黙ってろ!あと早く卒業しろ!言っとくがなぁ俺が千鶴を呼び出ししてんのはあいつが分からねぇ所があるって言うから教えてやってるだけでなんも…」

「でも毎回なわけねぇじゃん!」

「原田だって放課後よく千鶴を呼び出してんじゃねーか!」

「なっ、俺はなんも…」

「左之さん何してんだよ!」

「………………………肩揉んでもらったり、揉んだり」

「教師が何させてんだよ!」

「たかがマッサージじゃねーか」

「原田先生が言うと卑猥な内容に聞こえるな…」

「斎藤……」

「お前雪村にんな事させてたんか」

「俺の妹になにさせてんだよ」

「可愛い女子生徒に肩揉んでもらったら元気出るだろ?只でさえムサい男共がわんさかいるのに」

「左之さんへんたーい!」

「なんとでも言え」

「・・・・千鶴ちゃん遅くない?」

「……アレとかじゃねーの?女の子だしな」

「こんな遅いわけないだろ?俺が来てから結構経ってるぞ」

「我妻はいつ出てったのだ?」

「ん〜かれこれ20分は経ったかも…」

ガタガタ
みんな一斉に立ち上がります。

「今日がバレンタインだからって暴走してる男子が千鶴を…」

「ありえるな…」

「そんなやつ僕が消すよ」

「俺が来世も生まれ変われないよう呪ってやる」

「俺が教頭の権限でこの学園から追い出してやる」

「いや、風間グループの総力をかけてこの国に居られないようにしてやる」

土方、原田、永倉、沖田、斎藤、平助、風間、不知火、天霧、薫の9人が一斉に教室から出ようとした時また1Aの扉が開きました。


ガラッ!!

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

「あれ?皆さんどうしたんですか?」

入ってきたのは正真正銘本物の千鶴ちゃんでした。何故自分の教室に先輩二人、教師三人、生徒会三人組み、そして自分の兄が居るのか分からずキョトンとしています。

「ち、千鶴…?」

「お前…今までどこに行ってたんだ…」

「え?…あの、お手洗いに行ってたんですけどそのあと廊下で学園長に会って頂き物のお菓子があるから良かった食べないかって、お茶を頂いて…そしたらこんな時間になってしまいまして…ごめんなさい」

ご迷惑おかけしましたと申し訳なさそうに千鶴ちゃんは謝ります。

「や…無事ならいいんだよ…」

「ああ…」

「?」

「無事ならばいいのだ。我妻よ、今日は聖バレンタインデーだな。夫である俺に渡すものがあるだろう。」

「おっと…」

「なに寝ぼけた事言ってんだ?千鶴は毎年俺と父様と馬鹿平助にしかチョコはやんないんだよ。まぁ今年は平助の分はないけど」

「千鶴!俺の分あるよな!?」

「君まだ妹離れ出来ないんだね。チョコレートもらうのは僕だよ。ね?千鶴ちゃん♪」

「え!」

「千鶴!俺はまだ本命じゃなくてもいいんだぜ?お前が卒業してからじっくり愛を深めていけばいいしな」

「原田!生徒を口説くんじゃねぇ。千鶴、学校に不要物を持ってきたら没収だそ?」

「あ…」

「土方さん!バレンタインチョコは不要物じゃねーよ!千鶴ちゃん!この永倉人生でバレンタインチョコレートを貰った事がないんだ!お願いだくれ!」

「永倉先生…情けないです。雪村…俺は誰からもチョコレートは要らない。お前だけから…」

「斎藤先輩…」

「ちょっと一君!?何どさくさに告白しようとしてんの?」

「していない…」

「我妻よ、こんな奴らはいいはやくチョコレートを」

「黙れ!バ風間」

薫お兄ちゃんは罵倒します。

「貴様…」

「ギャハハ!」

「不知火笑うと後が怖いですよ。」

「あ、あの…私チョコレートは皆さんの分をちゃんと用意しておりますので…」

「まじで!?」

「ほんとか!」

「はい!チョコレートのメレンゲを作ってみたんです!貰ってくれますか?」

「「「「「「「「「もちろん!!」」」」」」」」」

こうして、千鶴ちゃんが作った愛情入りバレンタインチョコレートはみんなの手に渡りました。

「これめっちゃうめー!」

「あぁ、卵白をよくかき混ぜている」

「一君すごいな…」

「千鶴、おかえしに…」

「?原田先生…」

ちゅっ!

「はっ、原田先生!?」

「「「「「「「「「あ"ぁぁぁぁ―――――!!!!」」」」」」」」」

原田先生は千鶴ちゃんの頬にキスをしました。千鶴ちゃんは真っ赤です。みんなは怒りで顔が真っ赤です。

「テメェ!」

「千鶴ちゃんに何してんですか」

「ずりぃ―!」

「俺の可愛い妹に何するんだあああぁぁぁ」

「我妻に何をするんだ!」

「だ―っせぇな!ほっぺにキスしただけじゃねぇかよ」

「千鶴嫌がってんだろ!」

「千鶴…嫌か?」

「あ…う…いえ……」

「ほらな!」

「ちづるぅ!」

「なんだ、じゃあ僕もありがとうのちゅーしてもいいよね?千鶴ちゃん」

「え!」

「チョコありがとう♪」

ちゅっ―

「あ…」

「沖田!お前までっ」

「しかもちょっと長かったぞ!」

「細かいな」

「千鶴!じゃあ俺も!」

ちゅ!

「へ、平助君」

「平助。お前は今後雪村家の敷居をまたぐな」

「げ…」

「んじゃ俺も一応貰ったから」
ちゅっ

「ひゃあぁっっ」

「不知火…お前あんま喋ってなかったくせに」

「では私も。チョコレート有り難く頂かせて貰います。」
ちゅ

「天霧、不知火貴様等…会長である俺より我妻に先に触れおって…千鶴!」

「はひ…」

ちゅうううぅぅ……

「なげぇよ!」

「千鶴が汚れてく…」

「ふん、土方よ羨ましいか?」

「うるせえ…千鶴!」

ちゅっ…

カシャ

「総司!てめぇ何写メってやがる!!」

「教育委員会に見せようと。」

「雪村…すまない」

「あっ…斎藤せんぱ…」

ちゅっ

「んっ……」

「うわ!一君ほっぺじゃなくて耳にしたぞ。むっつりだ」

「千鶴ちゃん…俺もすまん!今度なんか奢る!」

ぶちゅ!

「きゃ…」

「千鶴!俺が居ながら…」

「あ…薫、そんな落ち込まないで…」

「お兄ちゃんが今すぐ浄化してやるからな」

「薫?あの…近い…」

ぶっちゅうううぅぅぅぅ

「おい、あの兄貴口にしやがったぞ!」

「実の妹にナニしてんだ」

「かおるぅ…」

「千鶴これで綺麗になった」

こうして千鶴ちゃんから貰ったバレンタインチョコレートをみんな貰い幸せな聖バレンタインデーは過ぎてゆくのでした。
きっとホワイトデーには大変な事が起こると思いますがとりあえず今は…

Happy Valentine.






END


あとがき

大人数は大変だ…
何人か空気!
ちなみに千鶴ちゃんは山南先生と近藤校長と山崎君もちろん父様にもチョコレートあげてます!ホワイトデーは大変だろうね!
日記にのせたバレンタインのイラスト。多分あんな感じで千鶴ちゃんはチョコを作ったんではないかと…







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