千鶴とプリクラ 2/2


「はい!平助君。」

「サンキュー」

ハサミのコーナーで二分割し、分ける。

「さて、この後どーすっか?千鶴はどっか行きたいとこある?」

「実はね、私今日お菓子持って来たんだ!天気いいし公園で食べよ!」




*****************



近くにある噴水がある大きな公園で、二人はベンチに座り千鶴はお菓子の入っている持ってきた紙袋を広げる。
今日は土曜日なため、家族連れやカップルで賑わっていた。


「マドレーヌ作ったんだ。」

「千鶴が作ったのか?すげー」

千鶴は料理全般作るのが得意で、レシピさえあれば何でもおいしく作ってしまう。
千鶴が平助にお菓子を作るのは初めてではないがその完成度が高いため毎回感心してしまう。木陰の下で、風でさわさわと鳴る葉の音色を聞きながら、遠くで子供の男の子と女の子がボール遊びをしているのを眺める。


「私達もよくしたねボール遊び。」

「千鶴ボール蹴る時空振りしてこけたよな。」

「もうっ!平助君だって野球ボール踏んで転んでたじゃない!」

「ははっ、なつかしいな。俺達ずーっと一緒なんだなぁ…」

今まで小さな頃から何も変わらず純粋な関係できた二人だが正直早く子供から脱出し、千鶴と深い仲になりたいが今焦ったら幼なじみの関係を壊してしまうだろう。


「あの二人も将来私達みたくなるのかな…」

「なにが?」

「だって男の子と女の子なんて中学生になったら話さなくなっちゃうじゃない。私達はそういうのなかったけど」

たしかに…俺は周りの目とか気にしなく千鶴と一緒に登下校してたな。まぁそれは千鶴に他の男を近づけさせないためでもあったけど。(なにせ千鶴はこのとうり可愛いからな見た目も中身もだからモテたんだ)
俺は小さい時から千鶴が好きだったから薫に酷い嫉妬を浴びたがとにかくいつでも一緒に居たかったんだ…


「私…平助君と離れるの……」

「千鶴?」


これは…この反応は期待してもいいんだろうか?


「ずっと一緒にいたいよなー…」

「へ?」

「やっ、そのだってこれから働いたりなんだりするだろ?学校帰り買い食いとか、千鶴が剣道部来て差し入れくれてさ、みんなでワイワイやったりとか、朝千鶴が起こしてくれて…遅刻しそうで走ったりとか…全部思い出になっちまうんだな…」

もちろん平助はこの日常が変わっていって、お互い自立して社会に出てくことは承知だが、出来れば千鶴とは離れたくない。

「離れちゃったら…平助君毎日遅刻だね。会社とかどうするの…」

「まずいよなー…」

「私、私がもし寝坊したとき、手を引っ張ってもらえないよ…お菓子作ったって平助君が食べなきゃ意味ないしっ…、」


「ち…づる」

「元男子校に入ったのも平助君がいるからで…おんなじクラスになった時すごく嬉しくてっ…わ、たしっを、守ってくれるのは小さい時からいつも平助君…隣にずっといたいのは平助君だよ…」


「ちづっ…」

「離れたくないっ!!」


言い切る頃にはもう平助は千鶴を抱き締めていた。
嗚咽し、涙を流しながら小さな身体を震えさせ千鶴は平助にしがみついた。


「俺だって嫌だよ!離れたくねーよ!!」

「平助くっ…」

「物心ついた時からずっと好きだったんだぞ!だから他の男近づけさせないようにしてたし!でもフラれんの怖いから大事にしたくてっ…」

「平助君!!」

「千鶴!好きだ!大好きだ!」

「私も!大好き!」

土曜の昼間の公園のベンチで涙を流しながら抱き締め合い大声で愛を叫ぶカップルを見て通行人達は家でやってくれと冷めた目で見る。



「じゃ、じゃあ…俺達つ、付き合う事でいいんだよな…?」

「う、うん…」

身体を数センチ程離し、手を握り合いながらお互いのこれからを確認する。



「あ!じゃあ千鶴!もっかいゲーセン行こうぜ!」

「へ?」



*****************

二人は先程のアーケード通りのゲームセンターにお互いの手を握り締め合いながら千鶴は平助に引っ張られる。

「平助君?忘れ物?」

「ちげーって!これ。」

「プリクラ…?」

先程二人で撮ったプリクラ機の前まで来ていた。

「記念日に撮ろうぜ。俺と千鶴が付き合った記念!」

「うん!」



さっそくお金を入れてフレームを選び撮影が開始する。
選んだフレームは勿論恋人用だ。


『3・2…』


「千鶴!こっち向いて!」

「へ…、んっっ!!」



ちゅ



カシャ!

「あっ…」

「へへっ、千鶴とちゅープリずっと撮りたかったんだ!夢叶った。」


「もうっ…不意打ちは禁止だよ!」


その後プリクラのシャッターは勝手に進み、二人のイチャついたプリクラが出来上がる。

「恥ずかしいよ…平助君人に見せないでね!」

「えー俺携帯の待ち受けにしたんだけど、あと裏に貼った。」

「なっなんて事をっ!」



もう幼なじみではなくなった二人は家に着くまでずっと手を繋いでいた。

そして月曜日、うっかり千鶴とのちゅープリを沖田に見られ、斉藤や、千鶴の双子の兄や、千鶴を可愛がる教師、そして千鶴を自分の未来の嫁だと思い込んでいる生徒会長やらに、伝わり集団リンチに合うのはまた別の話。



END


あとがき。

平千で、「千鶴ちゃんとプリクラ」の続き。

平千いいよね!恋愛観が中学生みたいでほのぼのする。







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