短編 | ナノ
「あ、チューヤだ」
「あ? ああー名前か」
「どうしたのこんなところで」
「分かんね。昨日アイツとソイツと飲んで……んで起きたらそのへんにいて……」
「うわあ、二日酔いのダメ男と関わりたくねえ。それじゃわたしは帰るね」
「うるせーぞアホ面ヒマなら付き合え……ってかお前はこんなとこで何してんだ?」
「朔ちゃんと一緒に遊ぼうと思って誘う機会を伺ってたんだけどさ、白さんが来てヤメだよヤメ」
「ハァ、またアイツに付きまとってたのかおまえ」
「仕方ないね、これは仕事みたいなもんだからね」
「給料でんの」
「かわいい朔ちゃんを思う存分視姦できる」
「しょっぺえなおい、そんなことより楽しいことしようぜ」
「ヤダよお飲みに付き合えってんでしょ? わたしどっかの誰かさんみたいに昼間っから飲んだくれるような奴にはなりたくないわー」
「んだとコラ」
「つーかまだ酒臭いよ、今日はやめといて日向ぼっこでもしてれば」
「やってられっか……はーダルくなってきた……」
「ちょっと! 寄りかからないで! 重いクサい、もう金はあるんでしょ? 適当に女買って楽しいことすれば?」
「……金使わなくても、ここに女がいんだろ……」
「おいやだ、絶対やだよわたし絶対。わたしは予言するねお前絶対変な病気持ってるね」
「うっせーな! オラ脱げオラッ」
「まさかの青姦! だから嫌だっつってんだろお前に抱かれるくらいならミヨシくんに抱かれた方がましだねあの子ちょっとかわいいし」
「んだとおぉ!?」
「あーっ胸倉掴んだな!? このままわたしを殴る気か!? ハーッいいよそっちがその気ならわたしだってやってやるよ!!」
「何するって? だいたいお前みてーな女…」

「あの綺麗な女の子の婚約者、ボトルで殴ったってね」
「……お前」
「見たよ、聞いたよ。結局ボコられて止められておんだされたって。見たのは顔腫らしてポケーっと地べたに座ってるチューヤだけだけど」
「……」
「どうして殴ったの、昔の女だったんでしょ。未練があったのか、未練が残るようにされたのか……でも綺麗な子だったもんね、忘れられない?」
「……うるせえな…やめろよ」
「チューヤがその時どんな心境だったのか、考えるだけで興奮するね。在りし日の愛しい君、おれの手に其のぬるま湯のような暖かさがなければ……って、そんな関係でもなかったのかな」
「てめえ、やめろっつってんだろ! キモイんだよ! 放せ!」
「はぁ〜あ可哀想、可愛そう。皮を剥がされ殻を剥かれて痛い思いをしたチューヤ」
「……」
「涙目になっちゃうんだね、頬を赤く染めるのね。かわいいなあチューヤ、わたし今のチューヤは大好きだよ」
「……るっせー……な、構うなクソアマ!」
「うわーっ!? いっ……たいなチューヤ! 可愛がってやろうってんだから素直に受けとれよ!」
「おうじゃあこれから付き合えよ、ナニもしないでオレを語ろうなんざ図々しい」
「語るほどの人間でもないくせに……痛い! 顔は! やめろ! だいたいお前わたしのこと金のかからない穴みたいに思ってないかふざけんなわたしは朔ちゃんだけって決めてんだ」
「上等じゃねえか、じゃあ飲み付き合え」
「お金」
「お前に決まってんだろ」
「使えねーなボンボン」
「黙って来いよ財布」
「まあいいや、もうすぐ夜になるだろうし飲みくらいなら付き合うよ……嫌なとこ突っついちゃったし? いいもん沢山見れたし?」
「ホントにブチ犯すぞおまえ」
「チューヤは好きだけど病気は嫌なんだわ、ゴメンネ」
×
- ナノ -