咲くことはない(トニベト)
「エリーザベト」
名を呼べば娘は決して嬉しいとは言い難い表情で振り返った。しかしすぐに柔らかな笑みに変える。 そんなところは流石貴族の令嬢と言えるのだろう。
「何ですか?お兄様」
「お父様と呼べと…まぁいい。今日は特別だからな」
そう。今日は娘の誕生日だ。お互い誕生日など喜んで祝う年齢でもなくなったが、一応特別な日ではある。
「ふふ、覚えておいてくださったのですね…」
社交辞令のような礼を一つしてエリーザベトは私に背を向けた。
「待て。私からの誕生日プレゼントを受け取っていけ」
律儀に止まる妹に二つ折りの板を手渡す。手にした板を見てエリーザベトは失笑した。
「こんな日にまでお見合い写真なんて…素敵なプレゼント」
今度こそ振り返らない娘の背を見て私は笑う。娘が板を開く事はないのだろう。
そうだ。そのまま中身を見なければいい。
そして二つ折りの中に隠れた野薔薇の押し花に一生気づかなければよいのだ。
***
お誕生日プレゼントにミッチーちゃんから頂きました。(断じて無理やり書かせた訳じゃありませんよ!脅迫なんてしてませんからね←)
えへへへすっごく萌えました^//^
トニベトの魅力が凝縮されております。萌えた人はトニベト書こうぜ!←
ミッチーちゃん、転載許可まで本当にありがとうございました〜´`*