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美ら海水族館での自由時間が終わると、またバスに乗り今度は国際通りへ移動した。時刻はとっくに正午を過ぎており、昼食は各自国際通りで食べるよう指示されている。


バスを降りるとまた真桜と合流し、次は真桜との国際通りデートだ。


腹が減っているからさっそく何か口に入れたい。


「ああ〜っ沖縄そば食いてえなぁ。」


パッと目に付いた沖縄そばの文字にそんな反応を見せると、真桜は「食べようか。」と頷いてくれた。

しかし俺は、店に入る前にハッと思い出した。


「真桜そば苦手って言ってなかったっけ?」

「ううん、灰色のそばが苦手なだけ。」


真桜の返事を聞き、それなら良いか。と二人で沖縄そばを食べた。真桜は「美味しい」って言いながら食べていたけど、もしかしたら俺に合わせてくれていたのかもしれない。


次は真桜の食べたいやつ食べよう。と提案するが、もう腹いっぱいになってしまったようなので、休憩がてら通りかかったお土産屋を順に見て回ることにした。


「俺紅芋タルト買ってきてって言われてるんだった。」

「おお、お母さん?」

「うん。」


紅芋タルトにもいろんな種類があって、真桜はどれを買おうか悩んでいる。


お土産に悩む可愛い真桜を観察するように見ていたら、お土産屋の外からこっちを見てくる視線を感じて、チラッと外を見ると女バスの奴ら数人で観光しているトモや凪の姿があった。


そして凪と一緒に居た奴らは、凪の視線の先にいた俺たちに気付き元気に手を振ってくる。


「あっ柚瑠!!!」


こいつらがそんなに元気な訳は十中八九俺の隣に真桜が居るからで、「柚瑠みんなで写真撮ろー!!!」とスマホ片手に声をかけてきた。


「写真だって。どうする?」

「俺撮ろうか?」

「っていうより高野くんと撮りたいです。」

「最初からそう言えよ。」


正直者な女バスの友人の発言により、一旦お土産屋の外に出てみんなで写真を撮った。


「高野くんはやっぱ柚瑠と回ってるのかー。」

「水族館七宮くんと一緒に居たーって安心してた子いたよね。高野くん彼女いない事確定って。」


俺たちを前にしながら二人の女バスの友人がそんな会話を始め、その瞬間に無言の凪とトモと順に目が合ってしまった。

それがなんかおかしくて、俺は「ふっ…」と吹き出して笑ってしまった。


『確定じゃねえわ、こいつがそうだわ』って言いたげな目で俺を見るのやめてくれ。そういう態度を取られるのすげえ気まずい。なんかすみません…、って気持ちになってしまう。


「なんか飯食った?」って適当に話をはぐらかしたら、「アイス食べた。」ってトモが答えてくれた。


「アイスかよ、先に飯食えよ。」

「これから食べるよ。何食べよっか?」


そんな飯の話題から自然な流れで「じゃあな」とトモたちとはそこで別れ、また真桜との観光を再開させた。


「高野くんは相変わらずモテモテだなー。」


先程の女バスの友人たちが言っていた事を思い出しながらそう口にすると、真桜は困ったように無言で首を傾げる。


「旅行中告白されたりしなかった?」

「ううん、ぜんぜん。」

「ほんとかなぁ。」


普通に嘘ついてそうな真桜の返事にクスクスと笑いながら聞き流してやったら、「柚瑠は?」と聞き返された。


「俺?ねえよ、普通に。」

「ほんとかなぁ。」

「いや、俺のはほんとだっつの。」


俺の返しを真似するような真桜の『ほんとかなぁ』にはちょっとムカッとしてしまった。

いつ何をしてても、どこにいても、桁違いなモテっぷりを見せている奴が告白されてないわけがない。


「お前のが嘘だろ。」


ちょっと責めるような口調で言ったら、真桜は俺から顔を背けた。ほら、絶対嘘だな。

一瞬俺たちの間にはギスギスした空気が流れそうになるが、こんなところで喧嘩をするのは馬鹿馬鹿しい。ていうか今のは俺がちょっとムキになってしまったのが悪かったんだけど。


「真桜、おそろいのちゅら玉のキーホルダー買おう。」


話題を変えるために、俺は通りかかったお店の中を指差しながら立ち止まった。


真桜が先に通り過ぎようとしていたから、グイッと真桜の手首を掴んで引き止めたら、真桜はその後興味津々で店の中を覗いた。


そしてすぐにパッと嬉しそうな顔をする。


「ブレスレットも柚瑠とおそろいで買いたい。」

「いいよ。色違いにしようか。」


俺にはどのブレスレットが良いとかの希望が特に無かったから、真桜の好きなやつを選んで、買ってすぐに二人で腕に付けた。


恥ずかしいから俺は国際通りの自由時間が終わる少し前に取って鞄にしまったけど、真桜は上機嫌でずっとおそろいのブレスレットをつけていた。


楽しい時間はあっという間に過ぎて行き、沖縄での3日間の研修旅行は早くも終わりを迎えようとしている。


最後は飛行機でみんな爆睡しながら学校に帰ってきた。


ちょっとしたハプニングもあったが、それもまあ全部忘れられない一生の思い出になったんじゃないかな。

…って、研修旅行中のことを思い返したら、俺は早くも少し笑えてくるのだった。


let's go沖縄!研修旅行 おわり


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