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※ 【 健弘の恋愛(健弘余裕が無い)】と内容が重複しています。
  同じ場面でこちらは柚瑠視点verです


【 班決めと席替え 】


文化祭が終わってすぐ、再来月にある研修旅行の班決めも兼ねた席替えがホームルームで行われた。

男3人、女3人の6人で一つの班を作れと担任に指示され、その直後に教室ではガヤガヤと仲良い者同士が集い、班作りが開始される。


このクラスで仲良いやつっつったら…、まあ吉川だよなぁ。と俺はすぐに俺の席にやってきて「七宮一緒の班なろー。」と声をかけてきた吉川に頷く。


男3人、女3人って言われてもなぁ。と健弘の方を見れば、あいつらはすでに陽キャな友人たち3人で集っている。まあそうだろうな。

もう誰でも良いから誰か適当に同じ班になってもらおうと、普段あまり会話はしないものの、話したことくらいはある男子二人が話しているのを見つけて、声をかけてみようかと席から立ち上がり一歩、二歩、歩いたところで、健弘が俺の名前を呼ぶ声が聞こえて振り向いた。


「柚瑠!」

「ん?」

「班どうすんの?」


健弘は俺にそう問いかけながら、こっちに歩み寄ってくる。


「あー、適当に二人組になってるやつらの中に入れてもらうわ。」


もしかして気を遣ってくれたのだろうか?そりゃ人数に制限が無いなら俺も健弘のグループに入れてもらっていただろうが、さすがに3人で上手くまとまっているあの中に俺まで入りたがったら班決めがややこしくなってしまうのは目に見えている。


ここはさっさと俺一人どこかの班に入れてもらうのが賢明だ、と思っていたところで、横から誰かに声をかけられた。


「お〜い柚瑠〜、班決まってなかったら一緒に組もうよ。」


振り向くと、そこに立っていたのは女バスの友人と美亜ちゃんだった。女子の人数は2人なら、そこに吉川が加わると上手くまとまる。美亜ちゃんと同じ班になるのは少し気が引けるが、この際そんなことも言っていられない。


「おう、お前ら女子二人?こっち吉川居るから入れてやって。」

「美亜いいよね〜。」

「うんいいよいいよ、吉川さんよろしくね?」

「うんよろしく〜。」


幸い、美亜ちゃんは良い子で優しそうだから、吉川にも寛容な態度で挨拶している。


「男子は柚瑠とあと誰?富岡くん?」

「いや、まだ決まってな「うん俺。」…は?」

「柚瑠研修旅行の班だぞ?せっかくだし一緒の班なろうぜ。」


あとは二人組の男子に声をかけるだけだと思っていたところで、健弘が俺にそう言ってくれた。それは嬉しい言葉だが、あと一人どうするんだ。それはそれで問題がある。


「なろうぜって、俺は別にいいから男子はお前ら3人で組めよ。」

「俺がお前と一緒が良いから言ってんだよ。」


健弘がそこまで言ってくれるなら、まあ俺も親しい人と同じ班の方が嬉しいけど。と少し複雑な気持ちになりながら口を閉じた。


じゃああと一人、誰か都合良く同じ班になってくれる男子が居ないだろうか?と思っていたところで、俺と同じ中学だった男子が一人、困ったような表情で声をかけてきた。


「なぁなぁ七宮の班一人余ってたら入れて〜、俺だけ溢れた〜。」


おお、すげー。都合良く同じ班になってくれるやつ居たなと、俺は満面の笑みを浮かべて返事をする。


「まじ?丁度良かった、俺らも一人探してたとこ。」

「うわぁ七宮居て良かった〜。中学の時も同じ班になったことあるよな。」

「あー、そうだっけ?」


申し訳ないがあまり中学の頃の班までは覚えてないけど、そう言われたらそうだったかもしれない。


まあ何はともあれ、平和に班が組めてホッと一息つく。他の班もなんとか上手くまとまったようなので、その後ようやく席替えが行われた。


新しく決まった席は高1の時とまったく同じ場所の窓際前から二番目で、俺の前にはこれまた1年の時と同じように吉川が座っている。


そこまでは良かったのだが、俺の隣の席には美亜ちゃんが座った。

一度告白されてそれ以降はもう告白されても居ないが、やっぱりまだ俺のことが好きなんだろうか?と考えてしまう。どうせならもう一度告白されたらきっぱり断れるのに、と思ったりしてしまうが、これが俺の勘違いだったら美亜ちゃんに失礼だ。


普通に友達として仲良くしてくれてるんだよな、と思うことにして、前からそうしているつもりではあるが、俺も普通に友達として接しようと美亜ちゃんの存在は深く考えないことにした。


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