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「おじゃましまー…す、静かやなぁ。」

「流星は多分部屋に居ると思うんだけど。」


光星はそう言いながら、シーッと顔の前に人差し指を立ててから忍足で自分の部屋に向かい始めた。そろりと自室の扉を開けて、そろりと閉め、ガチャ…と部屋の鍵をかけている。

すぐに俺の方へ振り返り、立ったまま俺の身体に腕を回して抱き締めてきた。そっと唇を合わせられ、俺も光星の身体に腕を回しながら目を閉じ、光星の唇の感触を堪能する。


「声出したら隣の部屋聞こえる?」

「これくらいだったら大丈夫。」


ヒソヒソと話をした後、また光星はキスしてくる。唇を唇で挟まれ、甘噛みされ唇でちょっと引っ張られたりする。


「ぁ…」


唇の隙間から漏れた俺の声に、光星は俺と少し距離を取り、ぐったりするように俺の肩に額を乗せてきた。


「ぁ〜〜…」


あぁ、うん。分かった。勃ってるんやな。って、小さく唸り始めた光星の気持ちを察してふっと笑う。


「舐めてほしい?触ってほしい?どっちがいい?」


光星に選択肢を与えると、光星はじっと俺の目を見つめたまま黙り込む。迷ってるん?それともどっちもして欲しい?って光星の目を見たまま首を傾げるが、光星はどっちも選んでこなかった。


「まあいいや、ベッド行こ?」


流星くん居るんやったらあんまりえろいことはできひんかなぁ…って思いながらも俺は自分から光星の部屋のベッドの上に乗ったら、光星は背後から襲いかかるように近付いてきて、俺を仰向けに寝かせながらまたキスしてきた。

…びっくりした。光星くん口数少ないのにめちゃくちゃがっついてくる。オオカミみたい。


「…ふ、…っ、…ハァ…」


舌も入れられ、声を出さないように必死に息継ぎしていたら、光星は俺の着ているシャツの中に手を入れて直に俺の身体に触れてきた。


「ぁっ…!」


やばっ、声出てしもた。…大丈夫かな。隣の部屋に聞こえてへんかな。…だって光星がいきなり乳首触るから…。

でもそんなふうに声を気にする俺とは真逆に、光星はシャツを捲り上げて俺の乳首を舐めてきた。

チュプッ、と吸われてぴくっと身体が反応し、また「ぁっ…!」と小声ではあるが声が漏れてしまい口を手で押さえるが、これがもし隣の部屋に聞こえてしまっていたとしても悪いのは俺ではなく光星だ。


光星は「ハァ…」と息を吐きながら勃起した股間が苦しいのかカチャカチャと片手で器用にベルトを外し、ジーンズのファスナーを自分で下げている。…俺がやってあげるって言ってるのに、全部自分でやってしまうなぁ。


俺はもう光星にされるがままなのが良いのかな。光星は俺に何かされるのはそんなに好きじゃないのかな。まだまだ光星について知りたいことがいっぱいだ。

そんなことを考えながら光星の顔を見つめていたら、暫く無言で俺に触れてきた光星がようやく口を開いた。


「…ほんとに我慢できない。」

「えっちしたいん?」


光星は俺の問いかけにこくりと頷き、めちゃくちゃ素直に「したい」って口にしてきた。まあ前から言ってたもんな。

光星くんいつもそんな事考えてるんかな。とか、めっちゃポーカーフェイスやな。とか思って光星を見ていたら、俺の身体の上で四つん這いになって項垂れながら「ハ〜…」と息を吐いている。『したい、したい』って頭の中で考えている事が手に取るように分かってしまった。


「光星ってローションとかゴム今持ってるん?」


あまりにも『したい、したい』って態度を出すからふと疑問に思ったことを問いかけたら、光星はまた無言になり、俺の目をジッと見ながらふるふると首を振ってくる。


「なんや、そんなしたいしたい言うからもう用意してるんかと思ったわ。俺がローション買って先に慣らした方がいいん?それとも光星に託せばいい?光星どうしたい?」

「……俺も初めてだし、できれば一緒に慣れていけたら嬉しい…。」

「うん、いいよ。今度一緒に買いに行く?」


べつに用意するのはいつだって良いけど、そんなにしたいのなら準備くらいはしておくべきだ。そう思って聞いた問いかけに、光星は何故かカッと顔を赤くしながらこくこくと頷く。


「なに恥ずかしがってるん?やりたいんやろ?」

「ごめん…、永遠くん見てたら理性保てなくてどうにも手順が…。」

「ううん、いいよ。俺そういう光星のこと見るんも好きやで。」


恥ずかしがってる光星の目を見ながら言えば、光星は何か返事を言う代わりにチュッと控えめなキスをしてくるだけだった。


その後、隣の部屋から『キィ…バタン…』と扉を開け閉めする音が聞こえてきて、俺はハッとして光星のベッドから降りた。

光星はのっそりした動きでベッドに腰掛け、またもや無言で項垂れている。


「光星そんなムラムラしてるんやったら俺が抜いたげるやんか。」


俺は床に座ってぺしぺし、と光星の足を叩きながら言えば、光星はゆるゆると顔を上げ、「理性保てない自分が恥ずい…」とぼそぼそと喋ったあと、「はぁ…」とため息を吐いている。


「も〜光星くん恥ずかしがりややなぁ。そんなところも大好きやで。」


にぎにぎにぎっと光星の足の上に置かれていた手を握りながら言えば、光星の顔はカァっと真っ赤になっていた。


ああもう、照れ屋でかわいいなぁ。こんな姿はいつまでも、俺だけに見せてくれたら嬉しいな。


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