クラスでちょー人気らしい女子のアドレスは頼んでもないのに教えてもらった。けど、登録はしてない。だって、用ないじゃん。そもそもそんな喋ったことねーし名前すらはっきり覚えていない。




「丸井くーん!」
「んあ?」
「アドレス変えたんなら教えてよ?あたし昨日アド変したから、丸井くんにメール送ったのにエラーになっちゃったじゃん!」
「あー、ごめん」
「もー、丸井くんったら!はい、これあたしの新しいアドレス」
「え?」
「後でメールしてね?」





めんどくせえ。
つか、お前とアドレス交換したって俺メールしねえから。
彼女じゃねえのにこいつの一方通行な好き好きメールがうざくてアドレス変えたのにまたかよ・・・。あー誰か助けてどっかの詐欺師でいいから。





「すまんのぅ、サイトーサン。」
「あ、仁王くんっ!」
「昨日ブンちゃんの携帯、俺が水浸しにしてもうたから今ブンちゃん携帯使えんナリ」
「え!そうだったんだ!じゃあ携帯直ったらまたメールしてね!」




誰がするかばーか。
俺に色目使ってたくせに仁王が来たら仁王にも色目。女って忙しいなー。
パタパタと自分の席に戻ってったサイトーサン。助かった。とりあえず、仁王さんきゅー。はあーと溜息一つこぼしたら仁王に頭を小突かれた。




「いって、何すんだよ」
「本人目の前にしてそんなあからさまに嫌そうな顔しなさんな」
「・・・こんっなにあからさまにしてんのにあいつ懲りねえんだぜぃ?」
「ブンちゃんが大好きすぎてフィルターかかっとるんじゃなか?」
「勘弁してくれ・・・俺にだってなぁ・・・」




チラッと隣の席に視線を送る。
今は伏せて寝てるっぽいけど、俺は隣の席の名字さんとメールがしたいのだ。ぶっちゃけ気になる存在というやつだ。因みに仁王にはバレバレだ。
でも名字さんのアドレスも番号も知らねえ。前に仁王を頼ってみたが仁王も知らないときた。使えねえ。モテモテな俺が自分からアドレス聞くとかなんかカッコ悪いだろぃ。
おい名字、アドレス教えろぃ!





「そんな見つめるんじゃなか。こっちまで照れちゃうナリ」
「ばっ!ちげえよ!気持ちわりー事言うなよ!」
「ブンちゃん」
「あー?」
「そんな睨まんで」




次の授業が始まるチャイムが鳴るのと、仁王が「プライドばっか気にしとったらしまいに誰かに取られるぜよ」ポツリと呟いた言葉はほぼ同時だった。
その言葉が引っかかって、それ以降授業どころじゃなかった。



誰かって、誰だよ…。


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