二年B組になって早一週間。それはすぐにやってきた。




「せんせー、出席番号順の席だと俺絶対前で逆に黒板全体が見え難いんで席替えしてくださーい」



お前いつも寝てんだろっていうみんなの視線を浴びながら秋山くんは先生お願いとウインクをして見せた。



「秋山〜、授業中いつも寝てるの先生把握済みだからね。まあ出席番号順は定番すぎるからしょうがない。今から席替えターイム!」



なんて言いながら黒板横にある棚の中からいつ用意したのか一つ箱を取り出す担任。そう、くじ引きだ。ノリの良い担任にみんな拍手やら口笛やらで喜びを表す。席替え、早過ぎない?なんて言う勇気もないので私も席替えに参加する。いい席が当たりますように。






「はーいじゃあみんな黒板に名前書いたね?他のクラスは授業中だからあまり騒がないように静かに席動かして〜!」



静かになんて無理な話で。机、椅子のぶつかる音。やった隣だね!なんて喜びの声や、最悪まじ最悪!なんて言う秋山くんの叫び声やらでざわざわしながらの席移動が始まった。
窓際の一番後ろ。みんなの憧れの最高の席に座るは、そう。



「ブンちゃんええのう。みんなの憧れの席げっちゅーじゃ」
「仁王はちょっと惜しかったな〜」
「ブンちゃんより先にくじ引いとったらその席げっちゅーやったかも」
「仁王さっきからそのげっちゅーっての古いっつーの!」



ゲラゲラとうるさい赤髪と銀髪。何がげっちゅーだ全くもって面白くない!
そう、窓際一番後ろに座るのは私ではなく丸井。丸井の前の前の席に座るのが仁王。そして丸井と仁王の間に座るのが、そう、私だ。



「最悪最悪!私がその席狙ってたのになんで丸井なの!?しかも仁王が前!意味わかんないズルしたでしょ」
「名前ちゃんそんな怒っても運は運。大人しく座りよ〜」
「そうそう。いいじゃん前後の席はこの際。窓際だぜ?よく考えてみろい?目の前に見えるのはなんだ?そうグラウンドだ。何するとこだ?そう体育の授業するとこだ!赤也が体育の時間ずっと見れるぜぃ?」
「最高の席じゃな」



は?意味わかんない。体育の授業してるならこっちだって授業中だ!ずっとなんて見れるわけない。バカじゃないの。






「こら〜名字、外ばっかり見てないで黒板写せ〜単位やらんぞ〜」
「ぶはっ」
「丸井も笑ってないで写せ〜」
「はーい」

丸井むかつく!ついでに肩震わして笑い堪えてる仁王もむかつく!
最後にって思ってもう一度外に目を向けるとこちらに気づいた赤也が手を振ってるのが見えた。体育頑張ってねを込めて小さくバイバイ仕返す。大きくバイバイしてる赤也を見つけて注意する体育の先生。頭に手を当ててきっとすんませーんなんて言ってるんだ。先生を見届けて赤也はもう一度こちらを振り向くと私の大好きな笑顔でピース。ふふっと小さく笑みがこぼれた。すると赤也は突然むすっとしてあっかんべーをした。はっと思って振り返ると丸井もあっかんべーをしていた。それを見てつい笑ってしまった私はこの後丸井と一緒に先生に呼び出されたのは言うまでもない。最後のあがきと仁王も道連れにしたのはここだけの話だ。ざまーみろ!


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