「せーんぱいっ!」




おはようございます、と少し高めでちょっと媚びた感ある声を出して俺の先輩へとタックルをかます同じクラスの女。ぎゅっと抱き着かれて満更でもなさそうな先輩。・・・何鼻の下伸ばしてんだよ。



「あ、切原くんもおはよう」
「んー」
「名字ちゃんほんと好きだな」
「趣味悪いんじゃねえの?」
「ひどい切原くん!」
「赤也ひでえ。いいヤツだろいジャッカルは!」



そう。問題なのは名字が好きなのは丸井先輩じゃなくてジャッカル先輩の方ってこと。こんなハゲのどこがいいんだ?丸井先輩なら分かるけど。お願いしたら飯奢ってくれるいい先輩だけど、ジャッカル先輩がアリなら俺の方がアリじゃね?・・・なに言ってんだ俺。



「どうした赤也」
「べっつにー」
「なんだよ赤也、もしかしてヤキモチ?」
「は!?な、なに言ってんスかそんな訳ないじゃないっスか!変な事言わないでほしいっス!」
「ふーん。ま、いいや」



お昼一緒していいですかとジャッカル先輩にアタックしてる名字を見ながら丸井先輩は変な事言い出した。ニヤニヤしてる顔が一々腹立つ。でも先輩なのでここは我慢。やんわりと名字のお誘いを断るジャッカル先輩にも無性にイライラしながら無意識に睨み付ける。名字がジャッカル先輩に惹かれてる意味も分かんねえしお昼一緒にしたいと誘うのもむかつくし、断った事に安心するも俺は誘われてないのにジャッカル先輩は断るのかって矛盾した感情もあってほんと意味分かんねえ。丸井先輩にお前も素直になれよって言われた意味も分かんなくてイライラしすぎて頭パンクしそう。モヤモヤしているとジャッカル先輩の元から俺の横へと来た名字は、ジャッカル先輩にフられたからお昼一緒に食べよと言ってきて、完全にジャッカル先輩目当てなのは分かってるのに、俺に言ってくれた事に不思議とさっきまでのモヤモヤは消えた。名字と入れ替わるようにジャッカル先輩の横へと行った丸井先輩に頑張れなんて言われ、やっぱり丸井先輩の方がいい先輩だなって思った。



「赤也、名字ちゃんの事となるとジャッカルにすっげえ威嚇するよなー」
「好きなら好きって言えばいいのにあいつマジで睨むから怖えよ」



なんて言われてる事は俺は知らない。


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