「俺、名前先輩の事好きになっちゃいそうっス!」
「はあ!?」
「赤也、名前ちゃんにはライバル有りじゃ」
「誰っスか!?正々堂々としょーぶ・・・え、まさか」



バカ也に英語を教えて、暗くなってきたから帰るかと早足で学校を出ていつも通りの帰り道。あー腹減ったコンビニでなんか買おうかなとか考えてると突然赤也が変な事言い出した。ライバルいるなら正々堂々と勝負してやると意気込む赤也に俺へと目配せしやがった仁王の所為でバカにまでバレた。何どさくさに紛れて名前ちゃんとか呼んでんだ。赤也もいつの間にか名前先輩だし赤也くんて呼ばれてるしなんなんだよ二人して邪魔すんなよ!俺だって、と思って名字へと振り向いたが当人見当たらず。


「あれ?柳、名字は?」
「え!名前先輩置いてきちゃったんスか!?」
「先々行くからじゃ」
「仁王先輩も人の事言えないっスよ」
「いや、あっちのスーパーに用があるそうで校門の前で別れた。三人にばいばいと伝えてくれと言っていたぞ」
「・・・あー、くそっ!」
「丸井先輩!?」



置いてきた挙句一人で帰らすとか最低だろい。しかもまだ一言も話せてねえとか!
来た道を全力で走って戻り学校を追い越す。こっちのスーパーって多分あれだよなと目星をつけてその方向へと向かう。スーパーの少し手前の横断歩道で立海の制服を着た女子生徒を発見した。名字じゃなかったらどうしようとか考えずに後ろ姿だけで判断して肩に触れた。触っちゃったやべえってどきどきしたけど、名字のびっくりした、でもなんだかちょっと嬉しそうな顔を見たら堪らなく心臓がきゅーっとした。
丸井くんと呼ばれる自分の名前に心地よさを感じながらガムをぷくーと膨らます。赤也の馬鹿さに柳もお手上げらしいと二人笑いながら並んで目の前のスーパーへと向かった。名字が嬉しそうに仁王の得意科目を言った時はなんだかもやもやした。俺の得意科目は知らないのに仁王のは知ってるんだな、と。柄にもなく仁王に嫉妬した。以前仁王が名字は俺の事気にしちょるとか言っていたのを思い出す。やっぱり好きなのかな、仁王の事・・・。



「名字、俺ちょっとお菓子見てくるぜ」
「んー」


パンの前でどの味にするかと睨めっこする名字に聞こえてんのかとりあえず一言かけてお菓子売り場へと向かう。お、新作のポッキー出てんじゃん。名字好きそう・・・買お。
あれもこれもとほしいお菓子を手にレジへ向かうと丁度名字も並んでいたので三人後ろへと並ぶ。ふと俺の事が気になったのか、名字はきょろきょろして俺を見つけるとにこっと笑った。・・・やっべえ、可愛すぎだろい。



「んじゃ、帰るか」
「うん!丸井くんお菓子たくさん買ったんだね」
「新作のポッキーあったんだけどいる?」
「それ気になってたやつ!あ、でも丸井くんが欲しくて買ったんでしょ?ありがとう気持ちだけもらっとくね」
「や、名字好きそうだと思って買ったから、んじゃ半分こしようぜ」
「え!ありがとう!」



名字の笑顔にどきどきしながらも俺はポッキーの箱を開けて一袋渡した。手が触れ合ってピクリとしてしまった事を忘れるように名字に話し掛ける。共通の話題となるとやっぱり今日のメンバーの話になって、一年の頃の柳と今の柳のギャップやべえよなとか、仁王はテニスコート上では詐欺師と呼ばれてるだとか、入部前の赤也の話をして二人で笑った。ちゃっかり名字を家まで送り届けてばいばいと手を振り合う。名字が玄関を閉めてからふーっと深く息を吐く。俺は自分の顔が熱くなるのに気付かないフリをして歩き出した。


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