隣で揺れる人影。
自分よりも小さく華奢なその体は少し力を入れれば折れてしまうんじゃないかとも思う。

細い首にかかる水色の髪を指先で弄り眠る彼の体を引き寄せては真っ白なうなじに軽い口付けを落とす。

ピクリと反応を示す彼に可愛いと笑みを浮かべては優しい手付きで髪を撫でた。
「ん…。」と小さく身動ぎ薄らと目を開けば彼の瞳に自分が写った。

「どうしたんですか…?」

そう言って不思議そうに自分を見つめてくる彼の額にチュッと口付けてやりながら抱き締める手に軽く力を込めた。

「苦しいです…」

眉を寄せながら窮屈そうに不満を漏らす様子にクスクスと笑みを浮かべた。

「黒ちんの寝顔が可愛かったから、つい悪戯しちゃったー」

悪怯れた様子もなくそう言うと呆れたように溜め息を吐かれてしまった。

「いいから寝て下さい。明日だって練習があるんですから」

ふいっとそっぽを向いたかと思えばそのまま背中を向けられてしまった。

「黒ちん冷たーい」

不貞腐れたようにそう言えば先程の呆れ顔のまま此方に視線を向ける彼。
軽く体を起こしたかと思うと顔を寄せて今度は向こうから唇に口付けてくれた。
嬉しそうに笑みを浮かべていると恥ずかしくなったのか耳まで真っ赤にしながら再び背を向けてしまう。

「おやすみなさい!」

真っ白な肌に真っ赤な耳がとても目立った。
そんな可愛い君に免じて、仕方ないから今日はこれで許そうと「おやすみ」と返せばその小さい体を抱き締めながら目を綴じた。




『抱き締めたら壊れてしまいそう』
(小さな君の体。)
(強く抱き締めたら壊れてしまいそうで……)
(大事に大事に)
(優しく抱き締める)






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