彼、イワン・カレリンもとい折紙はヒーローである。
能力は他人の姿に化けること

そんな折紙が
ある日バーナビーの姿に化けた。


『涙が止まらない』


折紙には想い人がいる。

それは同じくヒーローをやっている"鏑木・T・虎徹"

折紙は彼に
憧れとは違う感情を抱いていた

そして彼の傍にいつもいるのが
今自分が化けている
"バーナビー・ブルックスJr."

虎徹とバーナビーは
パートナーである

だから相方であるバーナビーに化ければ虎徹に近付けるのでわ?と折紙は考えたのだ。

そして

バーナビーに化けた折紙は
簡単に虎徹に近付くことができた

「せ、先輩」

「ん?お、バニーどうかした?」

「いや、その………」


いざ想い人を前にすると
緊張してしまうのか戸惑いながら虎徹に話しかけるも
やはり会話は続かない


「そうだ、今からうち来る?」


虎徹の言葉に
折紙は勢いよく顔を上げ
コクコクと頷くことしか出来なかった


未だに緊張しているのか
そわそわしながら虎徹の後についていく折紙。

虎徹の家に着いても
それが変わることはなかった、が。


「キス、しねーの?もしかして今日そういう気分じゃなかった?」


と、不安な表情をしながら首を傾げている虎徹に
折紙は目を見開いた。

そして、気付いてしまった

自分が恋心を抱いている虎徹には既に恋人がいて
それは今自分が化けているバーナビーだと言うことに

ああ、なんてことだろう
それが真実であることを、折紙は受け入れたくなかった

不意に"バーナビー?"と虎徹から声がかけられればハッとしたように顔を上げて虎徹を見つめる

今更自分がバーナビーでなく
イワンだとも言い出せず
流れるままに、折紙は虎徹を抱くしかなかった

本来ならば嬉しい行為で
喜ぶべきなのに

虎徹の口から何度も放たれる
バニー…、バニー…っ
と、愛しい者を呼ぶ声。

そんな虎徹を見て
折紙は胸が痛んだ。

罪悪感に押し潰されそうになりながらも、今の行為を止めることは出来なかったのだ。


行為の後
泊まっていけばいいと言う虎徹に首を左右に振れば、折紙は自宅へと戻っていった。

変身を解きながら
折紙はベッドに埋もれる

零れる涙を
押さえることもせずに
声を上げてないた




――……翌日

「昨日のバニーちゃん、優しくておじさんびっくりしちゃった」

と、ケタケタ笑いながら話す虎徹を見て

本物のバーナビーは眉を寄せながら"は?"と首を傾げた


虎徹が昨日のバーナビーは
折紙だと気付くまで数十秒

折紙がバーナビーに
殺されかけるまで数分

折紙は
そうとは知らずに窓の外を眺めていた。



『涙が止まらない』

(出来ることなら)

(今すぐ消えてしまいたい)



―――
無理矢理感がいなめない\(^^)/






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