※鬼塔詰め合わせ
 
 
きっかけは笑顔だった

円堂みたいに豪快に笑うやつだと思ってた
だがそれは勘違いだったようだ
父親と電話しながらふわりと笑う彼女は泥まみれで俺らとボールを追いかける彼女じゃない 父親が大好きなただの女の子だ
ニカっと笑う彼女を太陽とするなら今の彼女の笑みは月だろう
柔らかく全てを包み込んでくれるような優しい微笑み
そんな彼女の女性らしさうっかりキュンとした



(つまりはギャップにやられました)





冗談なのか本気なのか

「塔子、夜間に出歩くのは感心しないぞ」
「大丈夫だよ鬼道が守ってくれるだろ」
「…さぁな」
「おいおい、ここは守るって男らしく即答しろよ」

そう言いながらニカっと笑う塔子
まったくこいつは 何処までが本気なのか…

「塔子」
「ん?」
「お前は俺が守ってやる」

目を見開く塔子の耳元で低く囁いた



(…なんてな)

(なんだよ、びっくりしたー)
(……)





繋いだ手は熱かった

「お兄ちゃん」

そう言って鬼道に抱き着く春奈がちょっと羨ましかった
私は兄弟がいないから、兄弟に甘えるってどんな感じなんだろう?
そんな事をぼーっと考えてたらみんなとはぐれてしまった
おーい、円堂 鬼道 どこだー?

「塔子!」

わぉ 鬼道すげーな 心の中で呼んだらすぐ来たよ

「どうした塔子 もうみんな先にいるぞ」
「うん…」
「どうした?体調でも悪いのか?」
「いや、そうじゃないんだけど…」
「…とりあえずみんなの所に行くぞ」

すっと自然に出された手
この手は春奈限定だと思ってた
私はなんだが胸がじわーって熱くなってガシッとその手を掴んだ
鬼道は一瞬ぎょっとしたが私が笑うと優しく笑い返してくれた
行くぞ と青いマントを翻して私の手をぐいぐい引っ張る鬼道
その手はとても熱かった





訳が分からないままでいい

最近鬼道といるともやもやというかむかむかというか、なんかとにかく胸につっかかって苦しいんだよな

そう鬼道に言うと鬼道はなんともいえない複雑な顔をした
ちょっと喜んでる?でも困ってるし泣きそうでもあるな

「今はまだ考えなくて良い」

そう言って私の頭をポンと叩いて弱々しく笑う鬼道
原因は分からないけど胸がチリっと傷んだ





自覚ゼロな君に捧ぐキスひとつ

先日、塔子に意識している宣言(?)をされた
つまりこれからの俺の行動でそれは好意にも嫌悪にもなるだろう
本来なら自然とその変化を待つべきだ
だが俺はもう待てる自信がない
一か八かの賭けをした



(…鬼道今の)
(キス…嫌だったか?)
(…嫌ってか、え?どういうこと!?)





言霊

「好きだ塔子」

すっと胸が軽くなった

「そっか、私も鬼道のこと好きなんだ」

すっと胸が軽くなった



気付けて良かった、好きの気持ち

「ちゅーが思ってたより気持ち良かった 機会があればもっとしたい」
「お前はもう少し恥じらいを持て!」



(ちゅー以上に気持ち良い事が有るってリカに聞いたんだけどいつしてくれるの?)
(…義務教育が終わってからだ)




(c)しろくま便
 
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -