「毛利さん」
一人掛けソファに腰掛ける彼に声をかける。切れ長の目がわたしをゆっくりと見上げた。
「お菓子いろいろ買って来たんです。食べませんか?」
「貴様」
「はい?」
「我を見下ろすな」
「え?」
「見下ろすなと言ったのだ」
「あ、す、すいません……」
「おいおい、別にいいじゃねえか」
私たちのやり取りを聞いていた元親がため息を吐く。とりあえずソファーの横にしゃがみこんだ。わたしを見下ろす毛利さんを見上げる。
「これで大丈夫ですかね?」
「沙季も聞かなくていいぞ」
「でも、」
「貴様は黙っておれ、長曾我部」
「……まあ沙季がいいならいいけどよ」
「何用ぞ」
「さっき言ってただろ」
「黙れ」
「お菓子食べませんか? お団子もありますよ」
「ならば食す」
「ここで食べます?」
「ああ」
「取ってきますね」
「茶も共に持って参れ」
「わかりました」
立ち上がり台所に向かった。
「その態度もうちっと何とかしろよな」
「貴様に口出しされる謂われはない」
「けっ、そうかよ」
「ふん、それとも何だ」
「あ?」
「我の身振りでは情を移すあの女が哀れだと」
「は!? おま、なんで」
「隠しているつもりだったのか」
「別にそういうわけじゃ、ってアンタには関係ねえ!」
「貴様に脈はないように見えるが」
「うるせえ!」
「他の者もあのような現代の娘に気を許すとは愚かな」
「アンタも許してるほうじゃねえか」
「我と奴等を同じ括りにするでない」
「一緒だろ」
「ましてや情を移すなど」
わたしが団子を持って戻ってたとき、元親と毛利さんは睨み合ってた。な、何があったんだろう。