「沙季、壁ドンってなに?」
「ドン!って壁に手ついて、相手を壁際に追い込むことらしいよ」
「それいつ使うんだ?」
「脅しのときか?」
「いやまあそういうのもあるんだけど……、少女漫画とかにあるんだよ。男子が好きな女の子に迫る場面とかに出てくるの。そういうシーン見るとなんかどきどきしちゃうよね〜」
『………』
「でも実際に現実でやられたらちょっとね。漫画の中だからよく見えるっていうかさ……って、聞いてないね?」


誰が理想の壁ドンをできるか。


▼彼の場合
「沙季殿!」
「なに?」
「(ここでやり遂げなければ、漢が廃る……!)」
「どうした?」
「(ここで、沙季殿に、壁どんをしなくては……!」
「ゆ、幸村? どうしたの?」
「う……っ」
「え?」
「うおおおおやはりできませぬお館様ああああ!!」
「え、なに!?」
→真田幸村:リタイア


▼彼の場合
「ね」
「ん?……え、なに?」
「どう? 俺様の壁ドンは」
「近いね……?」
「どきどきしちゃう?」
「うん、なんか、ちょっとどきどきかも」
「お、沙季ちゃんちょっと照れてる。じゃあ成功だねー」
「(佐助手慣れてる感すごいな……)」
→猿飛佐助:一連の流れがチャラい。


▼彼の場合
「………」
「……ん?」
「沙季」
「なに……?」
「どうだ?」
「な、なにがでしょうか……」
「珍しいな、照れてんのか」
「ち、近いからね」
「悪くねえな」
「(なんで今日はこんなにも近いのか……)」
→伊達政宗:全体的にすごく近い


▼彼の場合
「あー……沙季」
「はい」
「(壁ドン……とりあえず壁に手つきゃいいのか?)」
「小十郎さん?」
「………」
「ど、どうしたの?」
「いや、わるい、なんでもねえ(無理だ……)」
→片倉小十郎:リタイア


▼彼の場合
「ほっ!」
「わ!」
「へへ、どうだい? 壁ドン!」
「び、びっくりした……」
「どきどきは?」
「してるよ。驚いた」「言い方が驚いてる感じないよ沙季」
「わたしいつも反応こんなもんだよ」
「確かに……ってそうじゃなくて! そういうのじゃなくてさ! ときめき?のどきどき!」
「やーそれは感じなかったなー」
「えー!」
「ははっ、だって最初に驚かせるから」
→前田慶次:戯れてるだけになる。


▼彼の場合
「……壁ドン?」
「わりい、驚いたか?」
「や、まあ、うん。大丈夫」
「そうか」
「どうかした?」
「ちょっとやってみたくてな」
「はは、元親は特に背高いから迫力あるね」
「(……くそ、かわいいな)」
「(え、なんで急にだんまり……?)」
→長曾我部元親:たぶん一番ガチ


▼彼の場合
「おい」
「はい」
「………」
「………」
「………」
「……毛利さん?」
ドンッ(脚)
「うおっ!?」
「………」
「え、え!? すす、すみません私なんかしちゃいましたか!?」
「………(特に何の面白味もないな)」
無言で立ち去る。
「え? え……!?」
→毛利元就:もはや手じゃない。衝撃と恐怖を植え付けただけ。


「(なにみんなの中で壁ドン流行ってんの……? それより毛利さんどうしよう……!)」
→彼女:毛利の衝撃が強すぎて他のみんながやった本来の壁ドンの印象が消える。


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