買い物は全て終了し、出口に向かって歩き出した。何か食べるかと尋ねたが大丈夫だと言われたのでまっすぐ帰ることに。わたしの手には軽い袋一つしかないことは相変わらず。帰りはバスで帰ることにしたのは、荷物も多いしバスがどんなものかわかってもらうのにも良い機会だと思ったからだ。彼らは予想通りに驚いていてた。車内は空いていて、初めて乗る彼らの反応を怪しむような人もいなかった。家が近づくにつれ、留守を任せた彼らが心配になってくる。喧嘩になってはいないだろうか。家の中すごいことになってたらどうしよう……。そんなことを悶々と思っているうちに、家に到着。息を吐いたあと、いつも通りの音を響かせて鍵を開けた。


「おかえり!」
「お待ちしておりましたぞ!」


扉を開けた瞬間耳に飛び込んできた言葉に顔を上げると、そこには慶次くんと真田さんが。遅れてリビングから片倉さんも現れた。おかえりなんてきいたの、いつぶりだろう。前に兄ちゃんが帰ってきたとき以来か。昨日の夜「おやすみ」と言われたときのような、なんとも言えない感情がこみ上げる。


「外はどうだった?」
「すごかったぜ!」
「いいなあ」
「沖田殿のお役にはたてたか? 佐助」
「ばっちりですよ」
「お持ちします、政宗様」
「Thanks」
「お前の袋も貸せ」
「あ、ありがとうございます」


反射的に片倉さんに袋を手渡した。思い思いに言葉を交わしている様子が視界に入る。靴を脱いで彼らが中に上がっても一人玄関に立ちっぱなしの私に、リビングに入ろうとしていた真田さんと慶次くんの目が向けられた。


「沖田殿?」
「どうしたんだい?」
「いえ……」
「早くおいでよ」
「如何いたした?」
「た、ただいま……か、帰りました!」


必要以上に大きな声でそう言ったわたしに二人は一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、そのあとすぐに笑顔を見せた。


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