世界一幸せな日




放課後になって、私はいつものように彼氏である蔵ノ介のもとへ早々と向かう。

3年2組の教室を覗くと、奥の方で謙也君と話している私の大好きな背中が見える。

静かにくらに近づいて、その背中におもいっきりダイブした。

「くぅーらっ」

「おっと!なんや名前か。びっくりしたわぁ…今終わったん?」

「うんっ」

そういって、優しく笑って頭を撫でてくれるくらが大好き。

「おっ名前ちゃんやん!」

「こんにちは謙也君っ」

「おうおう相変わらずお熱いこっちゃなぁ〜あ〜いやだいやだ近頃の若いもんは」

「自分どこのおっさんやねん」

「俺はまだ中学生です〜」

「なんやねんその喋り方うっざ」

「うざいとはなんやねん!」

「ふふっ」

二人の会話が相変わらずおもしろくて、クスクスと笑う。

「ねねねくぅちゃん!入り口までおんぶしてほしいな」

ちなみに‘くぅちゃん’っていうのは、私がくらにおねだりをする時の呼び名だったりする。

「なんや甘えん坊さんやなぁ。ほな、しっかりつかまっとき」

「わーいっ!」

「おっ夫婦のお帰りやど〜!」

「この色男〜!」

クラスの人達が私達をからかった。これも毎度のこと。

くらがそれに対して笑いながら答えた。

「うっさいで〜自分ら!自分らに彼女がおらんからって妬むなや!」

「なんやと〜!ちょっと顔がええからって調子にのんなやこの絶頂ヤロー!」

「はいはいそれは最高の褒め言葉やで〜。ほな行こか名前」

「うんっ」


そうして私とくらは教室を後にした。









帰り道を一緒に手を繋いで歩きながら、私はくらといろんなお話をした。

「あのねーくら。今日嬉しいことがいっぱいあったんだよ」

「へぇーそうやったんか。どんなことあったん?」

「あのね、まず嬉しかったことがね、いつもよりくらといっぱいお話できたことでしょ」

「はははっ。それなら毎日しとるやろ?」

「うーん。そうなんだけどね、でも今日は特にいっぱい一緒にいれた気がして嬉しかったの。久しぶりにこうやって一緒に帰れたし」

「……」


そう。くらは部活でいつも忙しい。テニスでもその他のことでも、絶対に努力を怠ったりしない。

それくらいくらが陰で必死に頑張っているのは付き合う前から分かっていた。

だからいつ何時でも、くらは完璧なんだ。



すると、いきなりくらがその場で立ち止まった。

それに気づいた私も足を止めてくらの方を見つめる。


「?どうしたの?」

「…ほんま、ごめん。寂しい思いさせて」

「えっ…!そっそんなことないよ!くらが私のこといつも気にかけてくれてるの私知ってるもん!」

「名前…」

「いいんだよ。くらは今のくらのままで。私はそんなくらが好きになったんだから」

「…ありがとうな」

くらの手をぎゅっと握ると、くらもぎゅっと握り返してくれた。

「よし。いこか」

「うんっ」

私達は再び歩き出した。







「あっ、そうや。さっきの話の続きなんやけど、他の嬉しいことってなんだったん?」

「あっうん!あのね、今日テニス部の人達全員とお話したんだよ!」

「えっあいつらと?全員とか珍しいわな。で何があったん?」

「あのね…」


今日は本当に色んなことがあった。

財前が、私の好きなアーティストのCDをくれたこと。

謙也が、「普段ノート見せてもろたりとか色々と世話になっとるから」って言っておいしいお菓子をいっぱいくれたこと。

小春ちゃんと、なんと珍しいことに、あのユウ君が私の作ったお弁当を褒めてくれたこと(ユウ君は顔真っ赤にしてたけど)。

金ちゃんがたこ焼きを半分こしてくれたこと(思わずむぎゅーって抱きしめちゃった)。

千歳が可愛いジジのストラップをくれたこと。

抜き打ちテストでいい点とったって言ったら、銀ちゃんとこいちゃんがいっぱい褒めてくれたこと。


今日はとにかくいつにもましてなんだか幸せだった。





「へぇ〜そやったんか〜。しかもあの千歳と遭遇するとか名前運ええなぁ。」

「そうかな?」

「おん。やってあの千歳やで?もはや奇跡やん」

「あはは。それもそうだね」

「それにしてもまさか名前がここまであいつらと仲良くなるとは思わんかったなぁ」

「テニス部の人達は皆おもしろくていい人達ばかりだもん」

「なんや自分にそう言ってもらえると部長としてめっちゃ嬉しいわ」

くらが微笑みながら私の頭の上にポンポンッと手を置いた。

私は照れながら笑ってみせる。

「えへへ」

「…あ、そや。今日俺ん家寄ってかん?」

「え?でも、いきなりだと失礼じゃ…」

「うちなら大丈夫やって。友香里も自分にめっちゃ会いたがっとるんやで?」

「えっ本当に?
うーん、じゃあお邪魔しようかな。私も友香里ちゃんに会いたいしね」

「よっしゃっ!そうと決まったら早くいこっ!」

「わわわっちょっと待ってよくらーっ!」


くらが私の手を引っ張って走り出す。

思わず転びそうになっちゃったけど、

何よりくらの手がとても温かかったのが、なんとなく嬉しかった。


寂しくないなんて言ったら嘘になるけど、でも大丈夫。

頑張ってるくらも、時々子供っぽいくらも、優しいくらも


みんな、大好きだよ。






(…ねぇくら)
(ん?何や?)
(…ありがとう)
(えっ?どないしたんいきなり)
(えへへ。なんでもないっ!)

《End》





Happy Birthday Dear むつのお姉ちゃん\(*>ω<*)/

 *あとがき*

つぃったでいつも仲良くしてもらってる大好きなむつお姉ちゃんにお誕生日プレゼンツの白石夢ですvV(//⊃ω⊂//)
白石単品は初めてだったからあんまり自信ないけど、喜んでもらえたら何よりです☆(*^ω^*)
あらためまして、お誕生日おめでとうございます!大好きだああああああ〜〜〜っ!!(*>ω<*)



***

Zexoちゃんから誕生日に貰っちゃった!うひひ!ニヤニヤが止まらんたまらん!
誕生日のわたしに、わざわざ当日に書いてupしてくれたという!感涙ものだ…
うれしくてうれしくてマジ泣きしたよ!本当にありがとう!!!
普段白石のことを「くら」呼びするから、主人公ちゃんがその呼び方だったのも嬉しい*
すてきな文をありがとう!わたしこそ大好きだ!



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