かまってちゃんの戯言









「りんー」
「……あー?」
「なに、そのやる気のない返事」
「名前も同じやっさー」




冷静につっこまれ、うう、と唸る。
目の前で書類を見つめる凛は、普段の様子とは違って真剣だ。


あ。睫毛、意外と長いんだ。
じっと視線を送るものの、集中しているのか特に反応はない。

薄く開いた凛の唇は少しだけかさついていて、リップでも買ってあげようかと思い口を開いた。




「リップクリームいる?」
「んー…」
「(ちゃんと聞いてないな……)」




唇を尖らせて凛に近寄り、まとめられた書類を手に取る。





「遅刻者チェック?」
「そ。朝にやってたやつよ」
「…凛もよく遅刻するのに」
「うっせー」




凛が風紀委員なんて、金髪で、一番風紀を乱してるんじゃないかな。


ぼそ、と呟くと、それはしっかり聞こえていたみたいで頭を叩かれた。
いたい。でも、構われてる感じがしてちょっとうれしい。





「ね、仕事終わった?」
「…さっきから何回聞くんばーよ」
「えーと…これで10回目…くらい」
「……名前、あんしー甘えたがりだったかぁ?」
「そ、そんなことないですけど」




図星をつかれて視線をそらしたら、何で敬語よ、と小さく笑われて抱きしめられた。
ふわふわの髪の毛は、ワックスのいい匂いがする。
やっぱり構ってほしかったんだなあ、わたし。


抱きしめてもらえたことに嬉しくなって、凛の胸に鼻先をうずめた。
凛はわたしの肩に顎をのせ、机の上の書類を眺めている。




「へへ」
「ぬー笑ってんだしよ」
「なんか嬉しくて」
「…ふーん?」




不意に腰を触られて、肩が跳ねる。
慌てて凛から離れようと胸を押すも、ぎゅうと抱き寄せられてしまった。





「ちょ、ちょっと…」
「構ってやんやしが」
「いい!仕事して!」




くすくすと、耳元で楽しげな声が聞こえる。
思わず顔を上げて凛を睨みつけたけど、ふ、と鼻で笑われた。





「こーやってくっつくぬ、嬉しいんだろ?」
「な、違…っ!構ってもらえるのが嬉しいだけで、」






あ、と自分の口を押さえる。な、なに言ってんだわたし…!
凛は途端に嬉しそうな顔をし、わたしの頭を両手で抱え込んだ。
苦しいし、毛先が頬に当たってくすぐったい。





「うじらーさんね」
「…どういう意味」



むっとしてすぐに言い返す。凛がにやにやしてるから、失礼な言葉のはず…!ばか、とか、あほ、とか!







「かわいい」





真正面からの言葉に、顔が熱くなる。
反論しようと開いた唇を、噛むように挟まれて、黙るしかなかった。








かまってちゃんの戯言




「やー、真っ赤」
「し、仕事してってば…」
「…もっとしていい?」
「……か、帰りにリップ買うなら、いいよ」




***

相互記念文として、「水雲心。」のZexoちゃんに捧げます!
改めまして相互ありがとう!Zexoちゃんのおかげで比嘉中にハマりそうなわたしがいます。比嘉っ子カワイイ!
凛くんリクエストされまして、うちなーぐちの壁の高さにドキドキしてるよ…。奥が深い。
よければ貰ってください!サイトでもツイッターでも、よろしくお願いします*



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