So What?







「…侑士」
「ん、なんや?」
「あーいうヤツ、やめさせろよ」



赤髪を揺らして、岳人は感情のままに唇を尖らせる。
俺はただ曖昧に頷き、それから笑った。


机がぎしぎし軋む音。こういうとこは、大して高価な物を使ってないんやなぁ。
そう思い資料室の天井を見つめる。

岳人が窓から裏庭を見つめながら、小さく溜息をついた。





***


「おしたりくんって、へんだね」

瞳を、くりくりと可愛らしく動かしながら名前はそう言った。
その問いかけにも笑顔を見せ、「なんでや」とふざけた調子で聞き返す。

心底不思議な様子で彼女は首を傾げた。




「だって、楽しくないのに笑ってるでしょ。へんだよ、それ」


***






「なぁ侑士。バレたらどうすんだよ」


バレたら?

彼女は知ってる。俺が女子に頼んで、彼女を虐げていること。
俺のせいで水をかぶり、ノートを捨てられ、笑われ、蔑まれていることを。


すべて知ったうえで、何も言わず、何の感情も持たずに、あの透明な双眸で俺を見つめるのだ。






「嫌われるぜ、おまえ」






So What?
( だからどうだっていうんだ? )



(1007 // じぶんの心を見透かされた気がして、苛立っている侑士の話。なんだか陰湿
方言を喋るひとの地の文って、どこまで書いていいのか毎回悩む)



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