昨日家に帰ってから続く、緊張と不安が原因の腹痛を我慢しながら重い足取りで学校へと向かう。 学校へ着き、自分の下駄箱に着く前にちらりと覗いた彼の下駄箱にはまだ手紙が置いてあった。 まだ朝練が終わっていないようで、上履きと一緒にあり安心の溜息が出る。 「…お腹痛い」 嫌でも今日の放課後には結果が分かる。焦ることはない。 とりあえず何が良かったって、違うクラスだという事だ。 これで同じクラスだったら今日一日地獄だ。…いや、もしかしたら卒業するまで地獄かもしれない。 そんなことを考えながら、左手でお腹を押さえ自分の教室へと足を進めた。 ・ ・ 普段なら長く感じる授業があっという間に終わり、気づけば放課後。早すぎる。 私、今日一日何してたっけ?なんて思いながら、携帯で時間を確認する。 約束の時間まではまだ時間がある。何せ、部活が終わってからなのだから。 図書館で時間を潰すだとか、そんなことを思いつかなかった私は一足二足早く約束の場所へと向かった。 春だからと言っても風はまだまだ冷たくて、日が落ちていく度に私は体を震わせた。 携帯を開けば約束の時間まであと10分程度。彼もそろそろ部活が終わる頃だろう。 ドキドキと高鳴る心臓。こんなにも緊張するのはいつ振りだろうか。 …昨日振りだ。 指の先端は真っ赤に染まっていて、ふぅと息を吹きかければじんわりと暖まるけれどすぐにまた冷える。 空にはもう夕日が揺れていた。 ふと、今何時だろうと思い携帯を開く。 「あーあ…」 知らないうちに約束の時間からもう20分も過ぎていた。 それに気づかず、もしものことを考えてドキドキしていた自分がアホみたいだ。 「っ、泣いちゃだめ…っ」 そう思うのにじわりじわりと涙が零れる。 私は背中を木に預け、そのままずるずると地面へと落ちていく。 今まで失恋したことがなかった訳ではない。 でも自分で想いを伝えたのは初めてで、想いを伝えたいと思った人に出会ったのも初めてだった。 過去に私に告白してくれた人もこんな気持ちだったのだろうか。 こんなに辛くて、悲しかったのだろうか。 声を押さえ、涙を流すのがこんなにも難しいものだなんて、今日初めて知った。 20120518 |