しっかり日焼け止めを塗ったのに、腕が少し赤くなっていた。
一日外にいればこうなるのは仕方ないけれど、少しヒリヒリして痛い。

こればっかりは仕方無いけれど、きっと明日は全身筋肉痛だろう。
中学生の時は吹奏楽部にいたから軽い筋トレもしていたけど、高校に入学してからは全く体を動かしていない。

お母さんに貼ってもらった湿布の匂いが部屋に充満している。


「…なんだろ、これ」


一日財前くんと一緒にいて、何度か心臓がきゅんと締め付けられるような感覚があった。
私だって短いけれどそれなりに人生を歩んできたのだから、それが何なのか分かる。

最初はただ断り切れなくて付き合うという形になってしまったけれど、私は確実に財前くんに惹かれているんだと思う。
けどそれはきっと、失恋した痛みから財前くんの優しさに逃げているんだろう。
私のことを好きだって言ってくれているから甘えているんだ。

頭では分かっているのに、確実に財前くんに惹かれてる。
そうじゃなかったら名前を呼ばれた時、あんなに胸が高鳴ったりしないだろう。


「あー、もう、」


考えれば考えるほど思考回路がぐちゃぐちゃになっていく。

その時、テーブルに置いていた携帯がメールの受信を告げた。
受信フォルダを開けば送信者に"財前くん"の文字。
それを見ただけで顔に火がついたように熱くなった。


[今日はめっちゃ楽しかった。ありがとう。また明日。]


ただの文字の羅列だというのに、こんなに鼓動が速くなるのは異常だ。
私も楽しかったよ。ありがとう。そう打ち込み、送信。

そのままベッドにダイブして枕に顔を埋める。
気付けばそのまま寝てしまっていたようで、朝起きた時にはまだ携帯を握りしめていた。

20130416