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最近の私は簪集めにハマっている。
きっかけは一日休みを貰った姉が家に帰ってきて部屋の整理をしていた時に、幼い頃に使っていた物がたくさん出てきたのだ。
姉が使うには幼過ぎるからという理由で私が譲り受けたのだが、それがまた可愛い。

少々髪の毛が少なく薄い私に付けるには苦戦したようだが、鏡越しで頭の上で揺れる簪を見たとき胸がときめいたのである。
兄との兼用の部屋に姉から譲り受けた簪を並べる。
色も形も様々でとても可愛い。床に寝そべりながら一本一本見ていく。


「名前、また見ているのか」
「うん!だってすっごくかわいいの!」


湯浴みをした後のようで(さっきまで畑にいたからね)肩に手ぬぐいを巻き乱暴に髪を拭きながら兄が部屋へと入ってきた。
すると私の横に隣に座ったかと思えば脇に手を差し込み抱き上げ、膝に座らせた。
ふんわりと石鹸の香りがした。


「名前はどれが一番気に入ってるんだ?」
「うんとねぇ、これ!」


体を曲げ腕を伸ばし一本掴み、それを兄の目線まで上げる。
「近すぎて見えねぇよ」と言いながら私の頭を優しく撫で、握っている簪を手に取った。


「青が好きなのか?」
「うん。だってそれ、おそらみたいできれいでしょ!」


体をモゾモゾと動かせて向き合うように座り直し、腰に手を回しギュッと抱きしめる。
胸より下辺りに額をぐりぐりと押し付ければ「どうした?」そう言って私の両頬に大きな掌で包み込んだ。


「ねぇ、にいたま」
「ん?」
「名前、かわいい?」
「ああ、日ノ本で一番可愛いぞ」
「好き?」
「好きだ」
「じゃあ、かんざちかって!」


必殺、上目遣い!!くりっくりの瞳で見上げるこの行為に兄が弱いのは日々の知識として得ている。
だめ?そう言って少し泣きそうな顔をすれば兄は大きく溜息を付き「仕方ねぇな」と呟いたから、私は、だいすき!と言い首元に勢いよく抱き着いた。

貴方の弱点はお見通し
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