さっきからチクチクチクチク、ユウジの視線が突き刺さるのが嫌というぐらいに分かる。
リンゴジュースの入ったコップをテーブルに置いて、私のチャーミングちゃんのぬいぐるみをがっしり抱きしめているユウジを見れば自然と目が合う。
するとユウジ目がぐわっとかっ開いた。(こわっ!)


「なぁ、さっきからなんやの?」
「その服、胸開き過ぎやろ」
「こんぐらい許容範囲やし」
「俺は許さん」
「なんでユウジの許可が必要やねん」


何かと思えば、ユウジは少しだけ開いた胸元が気になっていたらしい。
別に胸なんか見られて減るもんじゃないし、見られるほどの胸もない。(自分で言って涙出てきた)
そんなんが気になるなんてユウジも男やなぁ、と言えば「当たり前や!」と言ってチャーミングちゃんを投げつけてきた。


「おい!チャーミングちゃんに何すんねん!謝れ!」
「謝るのはお前や!そんなえっろい服着て何したいねん!俺に襲って欲しいんか!」
「……欲求不満か」


するとユウジは「おん!」と胸を張って返事をした。
いや、そこは胸を張るところではない。


「聞いてください、奥さん。もう二週間もエッチしてないんですよ」
「そこらのAVでも見て一人で抜いとけ」
「ヤダ」
「じゃあファンの子掴まえて、ワンナイトラブしようやって誘え」
「なんでお前がおんのに、そんなことせなあかんねん!」


ユウジはそう言うとずるずると私の隣にやってきて「な、ええやろ?」低く甘ったるい声で囁き、私の頬に手を滑らせた。


「無理」
「なんでやねん!」


私がユウジのおねだりに弱いことを知った上での確信犯だろうけど、無理なものは無理。駄目なものは駄目。
目の前のユウジの鼻を摘んでやれば、口がぱかりと開いた。あ、金魚みたい。


「なぁ、なんでダメなん?俺のちんこ爆発しそう」
「血祭りウィークなう」
「え、」
「生理三日目。やからユウジがどんなに誘っても無理」
「嘘やん!」
「そんなしょーもない嘘付かんわ」


するとユウジはわなわなと震え始めたかと思えば、両手を床に付き「ちょっとちんこ立っとったのに…」と呟いた。最低や。
かと思えば今度は目をキラキラさせて私の肩を掴んできた。


「やったら風呂ですればええとちゃうか!」
「生理中の女の子の体は硝子より繊細やのに無理させるん?自分の性欲処理ばっかで彼女のこと考えんとか最低やな。クズの中のクズやわ」


そこまで言うとユウジの顔が真っ青になり、バターンと音を立てて床へ倒れた。
どんだけダメージくらっとんねん、なんて思いながらユウジの顔を覗き込めば「も、立ち直れん…」と呟いて涙を流していた。きしょい。


「…ま、口でだったらしてあげんこともないけど」
「ほんま!?」


さっきまでキノコが生えそうなぐらい落ち込んでいたくせに、次の瞬間には目を爛々と輝かせ、私の目の前に仁王立ちしベルトに手をかけていた。

20120221