カーテンの隙間から入ってくる朝日が眩しくて身をよじったはずなのに、お腹に回る何かにぎっちりと拘束されていて動く事が出来ない。 まだ寝ぼけている瞳を指で擦りながら少しだけ頭を動かせば、私の首筋に顔を埋めたユウジの寝顔が見え少し驚く。 ……そういえば、昨日今日明日とユウジのご両親が旅行でいないからユウジの家に泊まりに来たんだっけ。働きの鈍い頭で昨日の事を思い出す。 ベッド横のサイドテーブルに置かれた時計を見れば、部活が始まるにはまだ早い時間。毎日朝早くから夜遅くまで部活をしているのだから、何だかんだ言っても疲れは溜まっているはずだ。 起こすのも可哀相やし、時間になったら起こしてあげればええよな。そう考え、私はユウジの暖かい体温に包まれながらまた目を閉じた。 次、目を開けた時にはユウジが顔を真っ青にしてユニフォームに着替えていた。 するとユウジの目線が私へと向いたかと思えば「おはよう!ほんまは朝一発やりたかったんやけど無理やわ!スマン!」なんて言った。 寝起きのせいてツッコミする気力すらない。ボーッと時計を見れば予定起床時間よりだいぶ遅れていて、顔から一気に血が抜けていくのが分かった。 「もうこんな時間なん!?」 「やから急いどんの!」 「…私のせいや、ごめん」 部活はもう始まっている時間。今から行ったって100%遅刻な訳だし、ユウジはそのせいでそれなりの罰を受けるのだ。 申し訳なさすぎて顔が上げれない。 「名前」 「、んっ」 ユウジの指が私の唇を流れていったかと思えば、次の瞬間にはユウジの唇が私のに重なった。 思ったよりそれは深く、ユニフォームをぎゅうと掴めば、ユウジの掌が私の頭を優しく撫でた。 「名前のせいちゃうから気にせんでな」 「、でも」 「俺はこうやって一晩中名前と一緒におれただけで幸せやねん」 やから罰でもなんでも受けたるわ!ユウジはそう言うとまた軽くキスを落としてから部活一式の荷物を持った。 「いってきます」 「いってらっしゃい」 優しく微笑むユウジに釣られて、私も思わず顔が緩む。 パタン、ユウジが部屋を出ると同時にドアが閉まった。それと同時に私は枕に顔を埋める。 「クサすぎや、アホ」 顔が熱い。耳が熱い。体が熱い。 ユウジの表情を思い出しまた熱くなる体が憎たらしいはずなのに、心は溢れかえる程満たされている。 青い空に覆われた土曜日。せっかくやし、練習見に行ってあげるか。そう思ったのはサイドテーブルに『名前へ』と書かれた紙と一緒に置かれた家の鍵を見たからなんて絶対に言ってあげない。 20120318 |