女の子は月に一週間だけ魔法にかかる。
まさに今、私は魔法にかかっている最中で、本当なら今日は水族館に行く予定だったのにあまりの腹痛のために中止になってしまった。

それなのにユウジは怒るところかとても心配してくれて、家に来る前に薬を買って来てくれた。
その優しさに涙が出そうになるのをぐっと堪え、ユウジの温もりに体を委ねてベッドに横になっている。


「…今日はごめんね」
「何で謝るん?」
「だって、ユウジだって楽しみにしとったし」
「俺は名前と一緒ならどこでもええねん」


私を慰めるような口調で言うと、優しく頭を撫でてくれた。
その感触がとても気持ち良くて、自然と瞼が落ちていきそうになるのを堪える。


「たまにはこうやって、まったりするのもええやん」
「…ありがと」
「ぷっ。今度は何に感謝してんねん」


ユウジはそう言い、ちゅ、と額に優しくキスを落とした。
唇が触れた場所がジンジンと痛み、熱くなって溶けてしまいそうな気がした。
きっと、痛みのせいで思考までもが侵されているのだ。


「俺な、生理って悪いもんちゃうと思うねん」
「なんで?」
「体が子ども作る準備しとるんやろ?やったら俺と名前の子どもが出来る為には必要なことやんか」
「…何言うてんの」
「え?え?照れとんの?顔真っ赤やけど」
「…あほ」


ユウジのせいで顔が熱くなるのが分かる。
顔をユウジの胸元に埋めるように抱きつけば「耳まで真っ赤やん」とからかう様な口調で言った。


「子ども3人は欲しいんやけど、名前はどう?」
「…ユウジとの子やったら何人でもええわ」
「ほんま!?やったら結婚したら毎日頑張ろうな!」
「わ、私はユウジとの2人きりの時間も欲しいというか…、」


ごにょごにょとどもっているのにも関わらず、ユウジはしっかりと聞きとっていたようで、ぎゅうと強く抱きしめてきたかと思えば「名前可愛すぎや!めっちゃ好き!愛しとる!今すぐ結婚しよう!」と叫んだ。

今日は休日で、仕事が休みの両親も家にいるのに、ユウジがそう言ってくれたのがとても嬉しかったのは、やっぱり今日の私は痛みに頭が毒されているからなんだと改めて思った。
20121117

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