普段クールだとか無愛想だとか言われてる光くんだけど、本当はとても甘えん坊で凄く凄く可愛い。今だって、ぎゅうと私の事を抱きしめていて、時々犬のように鼻を鳴らす。言葉では中々伝えてくれないけど、こうやって体で愛をいっぱいいっぱい伝えてくれる。

光くんが動く度に綺麗な黒髪が揺れる。それが顔にかかりくすぐったいと同時に、私と同じシャンプーの香りがふわりと漂ってくる。そう言えば、昨日の光くんは見たことないぐらいに甘えん坊だったなぁ、なんて思ってたら「…名前」と名前を呼ばれて、なぁに、と返事をする。けれどそれに対する返事は無くて、なんだったのだろうと思ってたら私を抱きしめる力が一層増して、一瞬息が詰まった。


「…部活行きたくない」
「えー。けど行かんと先輩たちに迷惑かけるで?」
「名前から離れたくない」


だだっ子のような口調で言いながら、光くんは「学校爆発せんかなぁ」なんて物騒なことまで言い始めた。とか言いながら本当はちゃっかりと部活の準備もしているし、昨日私がお風呂から上がった時にラケットの調子をみていた事だって知ってる。離れたくないというのが本心であっても、行きたくないというのは本心では無い。本当は行きたいくせに、なんて言えば光くんの掌が私の腰をなぞった。


「…やけど、名前と離れたくないのはほんまやで」
「誰も嘘とは言ってないやん。ほら、はよ支度しぃ」
「んー」


それでも動こうとしない光くんの頭を軽く叩けば、猫のような目が見開いて私を映した。そして頬をぷくと膨らませ、「名前のあほ」と小さく呟いた。


「あ、そういえば私宿題学校に忘れとるから取りに行くねん」
「え?」
「暇やし、ついでにどっかの部活でも見ようかなぁ」


わざとらしく言えば、光くんは私から離れ荷物を手に取る。そして私の手を掴み、「さ、行こか」と言った。
20121220

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