息を吐けば白く染まる。空気はとても冷たいけれど、ユウジと繋がった右手はとても暖かい。
どんなに寒くなっても、ユウジは手袋をしようとしなかった。
その理由が私の体温を直接感じたいから、なんて嬉しすぎて笑っちゃう。

その時、鼻先に冷たい何かが落ちてきた。
驚いて目を瞑ると「お、雪や」ユウジがそう言い右手で私の鼻に触れた。


「まさか名前と初雪見れるなんて思わんかったわ」
「嬉しい?」
「嬉しい」


ユウジはそう言って優しく微笑んだ。
いつもは悪戯っ子みたいに笑うくせに、たまにこんな笑顔を見せるから心臓がたまったもんじゃない。
なんだか急に恥ずかしくなって目線をずらした。


「あ」


その時、視線の先に真っ白に輝くウエディングドレスが入り込んだ。
それが雪と交わり、とても綺麗で思わず見とれてしまった。
すると「名前に似合いそうやな」と突然耳元で言われて、思わず飛び跳ねてしまった。


「あっはっは!なんやねんお前!」
「いっ、今のはユウジが悪いんやろ!」
「まぁええやん。さ、見に行こか」
「え、ちょっと!」


ユウジに強く手を握りしめられているから、そのまま付いて行くしかない。
引っ張られるまま、ショーウインドウへと近づく。
そしてさっきより鮮明に見えたウエディングドレスはもっと綺麗に輝いていた。


「…ええなぁ」


思わず出てしまった言葉をユウジが聞き逃す筈がなく、視線が私に突き刺さるのが分かり、また目線を反らした。
すると繋がれていた手が離れたかと思えば、今度は両手で私の左手を握りしめた。


「ユウジ?」
「今は無理やけど、近いうちに着せたるからどこにも行ったらあかんで」
「もう。急に何言ってんの」
「俺は本気や、ボケ」


そう言って、一段と強く私の手を握りしめた。
その顔は今まで見たことないぐらいに真っ赤に染まり、私を見つめていた。
静かに頷けば、「名前好きやー!」と大声で叫んで抱きついてくるから、周りの人たちの目線が突き刺さった。

きっと今の私は、ユウジなんか目じゃないぐらいに顔が赤く染まっているんだろう。
20121228

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