「お、今日のパンツは白か」
「…自分が何しとるか分かっとる?」
「名前のパンツ見とる」


ユウジはそう言うとスカートの裾から手を離し、にんまりと笑い私を見た。
今教室に私たちだけしかいないからまだ良しとしても、ここは学校なのだ。
ニヤニヤしながら「清楚な名前もええなぁ」なんて言ってるから、思いっきり急所を蹴ってやれば、声にならない声を上げて床に倒れ悶え始めた。


「おっ、まえ…!」
「変態もここまで来たら尊敬するレベルやわ」
「っ、使いもんにならんくなったらどうしてくれんねん!」
「その時は心優しい誰かが、ユウジの事貰ってくれるはずやから安心しぃ」
「なんでやねん!お前が責任持てや!」
「嫌やわ。何で学校で彼女のパンツ見て喜ぶ人もらわなあかんねん。それ罰ゲームや」


涙を浮かべながら股間を押さえているユウジを汚らわしいものを見るような目で見ていたら、ふらりふらりとゆっくりと立ち上がった。
すると突如私を羽交い締めにしたかと思うと、頬に噛みついてきた。


「ちょっと!痛い!ちゅーか何してんの!痛い痛い!」
「フーフーフー!」
「何でそんなに鼻息荒いの!きっしょ!ほんまきっしょ!」


私がどんなに暴言を吐いてもユウジは離してくれない。かと思ったら、片腕が自由になる。
離してくれるのかと思って安心したのもつかの間、今度はユウジがそのまま私を床へ倒した。
ガンッと音を立てて頭が床にぶつかった。
痛くて悶えていると、太ももが押されている感覚に気付き、慌てて視線を足もとへと動かす。


「ちょっ!何してんの!変態!ド変態!」
「名前の匂いむんっむんやで!ちんこビンッビンや!」
「死ね!ほんま死ね!強姦!レイプ魔!」
「名前が確実に俺のもんになるように、今すぐここで大量中出ししてやるわ!」


そう言いながらユウジはスカートの中に顔を埋めた。
足の付け根を舐める感覚。いつもなら愛しく感じるそれも今は怖いだけだ。

まるで滝のように涙が出始めた。
しゃくり始めた私を見て、ユウジの動きが止まり足を掴まれた感覚もなくなった。


「…ごめん、ごめんな」
「もっ、やだ…ユウジ、こわっ、い…!」
「っ、ごめん!ごめん、ごめんな!」


顔を手で覆い涙を流す私をユウジは強く抱きしめた。
もしかしたらユウジは遊び半分で、また私が怒るのを想像したのかもしれない。
私だって謝りたいのに、零れ落ちる涙のせいで言葉が出ない。

それから数分間、ユウジの膝の上に座り優しく抱きしめられていた。
涙が止まり呼吸も整ってから、ユウジを見上げれば、何故かユウジの瞳が真っ赤だった。
びっくりしていると「名前、名前〜!」と涙声で私の名前を呼び始める。


「別れるとか絶対言わんでな!俺、名前がおらな死んでまうで!」
「言わんって。私も悪かったし。ごめんな」


そう言ってユウジの頭を撫でてあげる。
私は優しいから言わないけれど、太ももに当たるユウジの固いもののせいで、どうも反省しているようには思えなかった。
20121220

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