「お前、そんな猫ばっか抱きしめて何してんの」
「猫言わんで。チャーミングちゃんやし。そろそろ名前覚えてよ」
「ねこねこねこねこねこ!」
「死ね!チャーミングちゃんウルトラスーパータックル!」


そう言ってチャーミングちゃんを投げつければ、ユウジの顔にヒット。
痛いと喚いているユウジに、ニタァと笑いかければ歯をむき出して私を見た。


「俺は絶対に許さん!謝るまで許さんで!」
「知るか!アホ!ユウジが謝れ!」
「なんでや!名前が謝るのが妥当やろ!」


ユウジが私の頬を抓り、私がユウジの頬を抓る。
お互いムキになって謝らず、ぎゅうぎゅうと引っ張っていると、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。
舌打ちをした後、ユウジは私に「ニャー!」と吠えた後、部屋を出ていった。トントントン、と階段を下りていく音が聞こえる。

その間に今日はユウジの家にお泊まりするから、バッグから下着とパジャマを取り出して、お風呂に入る準備をする。
すると、玄関の方からわーわー騒ぐ声が聞こえて、何だろうと思いながらもユウジが戻ってくるのを待っていると部屋のドアが開いた。


「名前ちゃーん!悪い狼に食べられてない?平気?」
「あれ?小春ちゃん?」
「小春ぅ!お前何勝手に入ってんねん!俺の許可取れ!」
「ええやん、ええやん。アタシらの仲やねんから、な?」


小春ちゃんはケラケラと笑いながら、床に転がっているチャーミングちゃんを手に取ると、「チャーミングちゃん、こんな扱いしたらあかんやろ」と言い私に手渡した。


「小春ちゃん愛してる、結婚しよう」
「お前何言うてるか分かっとるん!?」
「アタシ、逆プロポーズって夢やってん」
「小春うううぅうううう!!!」


突然小春ちゃんが来たのはびっくりしたけれど、私もユウジも小春ちゃんが大好きだから嬉しいのである。
私は二人がもみくちゃにじゃれ合っているのを見ながら、お風呂セットを手に取って「ユウジ、お風呂借りるね」と言うと、小春ちゃんとばっちり目があった。


「名前ちゃん、お風呂入るん?」
「うん。なんやったら、小春ちゃんも一緒に入る?」
「入る!」
「お前ら死なすど!」


ユウジはそう言って私と小春ちゃんの首に腕を回し、そのまま自分の方へと引き寄せる。
耳元で聞こえるユウジの喚き声に、小春ちゃんの笑い声。
それがおかしくて、私も笑うとユウジがまた喚き始める。
その様子を見て、私と小春ちゃんは顔を合わせるとお腹を抱えて一緒に笑った。
20121230

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テーマ「人外ファンタジー」
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