『何ニヤけてんの、さっきから。』
昼休み、ツッキーの席で昼飯のパンを頬張ってるとツッキーが眉を顰めこちらを睨んできた。
『べ、別にー』
『ニヤけるほどそのパン美味しいの?』
『そうでもないけど…。』
そりゃぁニヤけるよ。苗字さんめちゃくちゃ可愛いじゃん。あの美少女と俺はさっき会話したんだぜ?ツッキーは呆れ気味に自分のパンを口に運んでいる。
『ツッキーさ、苗字さんのこと知ってる?』
『苗字名前?』
『うん。』
『名前は聞いたことあるけど、顔知らない。』
『クラスメイトの顔くらい覚えろよ…。』
『面倒。』
ガチで知らないみたいだから、ツッキーの席の隣の列の前から3番目付近に固まっている女子グループの中にいる一際目立つ可愛さの苗字さんを指差した。
『ほら、あの子。可愛いっしょ?』
『…別に。』
なぬ!?想いを寄せられてるにもかかわらず何だ、その態度は!
『可愛いじゃん。ツッキー声かければ?』
『やだ。』
何でだよ!ツッキー好かれてんのに!
『山口、あぁいうの好みなんだ。』
冷ややかな視線が俺に刺さる。別に良いじゃん。可愛いんだから。
『…噂で色々聞いてるよ。』
『え!?嘘、何?』
『社長令嬢。』
マジかよ。どうりであの品の良さ。やっぱ育ちが良いんだなー…。
『容姿端麗。』
そりゃ、カル●スウォーターとかシー●リーズのCMに出そうなくらい爽やかで可愛いもんな。
『見た目の割りには遊んでる。』
『…は?ちょ、待って、何?三番目。三番目おかしくない?』
『さぁ。ちょっと周囲より栄えるから男がほっておかないとでも言いたんじゃない?』
いやいや、苗字さんはきっと周りがどれだけ美人で溢れてても目立つって。ホント、ツッキーは何処までも素晴らしく毒舌だなと思う。
『ちょっと待ってよ、ツッキー。それは噂だろ?』
『うん。』
ツッキーは自分のメロンパンを食べ終え、コーヒー牛乳を音を立てながら吸い付いた。
『あんな清楚で清涼水みたいな子に限ってそんな…。』
『だから言ったろ?見た目の割にはって。』
パックをぐしゃっと握りつぶし、ゴミ箱に捨ててこようと立ち上がるツッキーは妙に荒々しくて、怒ってる気がした。あ、こういうのって親友の感ってやつかな。