1話
あれから3年がたった。
記憶がただしければ今年が原作に入る年だったはずだ。何でわかるのかって?そんなのは簡単、原作に入ったのがサンジ兄が19才だと書かれていたのを覚えているからだ。
そして今のサンジ兄の年齢は19才。原作の年齢に入った年と同じ。
そして俺が15才。
精神年齢はあれだ…………今は考えないようにしよう、うん。
それにしても
「記憶があるってのはある意味反則だな」
未来を知っているのだから。
布団の中でくるまって呟いた俺の声が直に耳に届く。けれどと俺は思う。
その記憶で大事な人を助けられるならいくらでも反則をおかしてやる…………と。
頭のはっきりしない朝にそんな事をつらつら考えていた俺の耳に、窓越しにばさばさと羽ばたく音が聞こえてきた。
「…………もうこんな時間か」
時計を確認し、ふらふらしながらもベッドから降りる。ふかふかのスリッパをはいて窓枠にいけば、毎度お馴染みのニュース・クーのカモメが目を輝かせながらこっちをジーと見ていた。
「…………おはよう、ご苦労様」
ポーとして働かない頭を動かしながら口角をあげて笑うと、机の上においてあった鳥用クッキーをニュース・クーに渡し、頭を指でなでてやる。
すると満足そうに一声鳴いたニュース・クーはベリーを受け取りそのままバササッと羽を広げて飛び去っていった。
1話