19話
「アクリ」
『ん?』
しばらく歩いていると隣のサンジ兄から声をかけられた。
「ずいぶんあの二人と仲良くなったんだな?」
サンジ兄がずいぶん遠くに離れたパティとカルネを振り向き口を開いた。
『ん?そうかな?』
「ああ。」
俺の言葉にサンジ兄は頷いた。その顔が何だか不満そうに見えるのは気のせいか?
『あの二人いい人だったよ?。ちょっと乱暴なとこあるみたいだけど、じーちゃんのことすごい尊敬してるし、案内してる時もじーちゃんのこと雲の上のお方だとか神様だとかいってた。』
「じ、じじいが神様〜!!?」
俺の言葉にサンジ兄はぎょっとしたように目を見開いた 。
そんなに驚かなくても…………まぁ、気持ちはわからなくないけど、うん。
それに俺がうんと頷くとサンジ兄はなんとも言えない顔をした。
「あんな暴力じじいが神様とかないだろ………そりゃ、料理の腕は確かにすげえし、神様とか言われるのも納得するけど…………」
サンジ兄はもごもご口を動かすと、蹴られたときのことでも思い出したのか、ぶるりと体を震わせ自分の頭を撫でた。
『だから、あの二人はいい人たちだよ?』
「…………」
俺がそういい募るとサンジ兄は、眉を寄せ少しふて腐れたような顔をした。
『サンジ兄?』
どうしたんだ?何だか機嫌悪い?
俺が首をかしげてサンジ兄を見上げるとサンジ兄は唇を噛んでぽそりと漏らした。
「…………だからな…」
『え?』
「アクリの兄ちゃんは俺なんだからな!!?」
『…………ん?』
唐突に言われた言葉に俺の思考は停止した。
19話