9話
じーちゃんに不器用にも心配された日から数日、俺はじーちゃんに教えてもらった通りに掃除をメインにこなした。
甲板、厨房、トイレ、お風呂、食糧庫、様々の場所を磨き続けた。
そのおかげか、すぐに切れていた息が徐々に切れなくなり、少しは体力がついてきたらしい。
これだけ掃除をこなした俺は今では掃除マスターに昇格したぜっ
……自称だけどな。
それはさておき
その掃除が終わって余った時間を俺なりに有効活用するためにこの数日、色々な人の仕事を見学し続けていた。
料理を運んださいの対応の仕方、オーダーの取り方、倉庫にある在庫の確認の仕方etc.
表のウェイターから裏方まで様々な仕事を見続け、わからない場所は聞いて確認をとったりした。
さいわいにも俺は人よりかなり記憶力がいい方だと思う。だから、お客の対応の取り方、オーダーの取り方はすでにマスター出来た。
お客とコック間のトラブルを納めたり、お客がスプーンやフォークをおとしたりした時などの対応もそつなくこなせるようになった。
…………なんでか、トラブルを納められたコックが俺の顔を凝視していたけど……どうしたんだか。
経理学やなんやらも色々勉強してあったから、それも色々ここでいかせられそうだ。
……そう考えてみると昔色々無理矢理にでも頭に詰め込んだのは無駄じゃなかったんだな……。
今役に立っているのならやっていてよかったのかもしれない。
昔を懐かしんで思い出していると、厨房からやって来た一人のコックにオーナーが呼んでるぞと声をかけられた。
『じ、オーナーが?』
「ああ」
何かあったのか?と首を捻ってみるも分からなくて、コックに早く行ってこいとうながされるままとりあえず厨房へ向かうことにした。
9話