あのひとが来て
長くて短い夢のような一日が始まった
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あのひとの手に触れて
あのひとの頬に触れて
あのひとの目をのぞきこんで
あのひとの胸に手を置いた
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そのあとのことは覚えていない
外は雨で一本の木が濡れそぼって立っていた
あの木は私たちより長生きする
そう思ったら突然いま自分がどんなに幸せか分かった
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あのひとはいつかいなくなる
私も私の大切な友人たちもいつかいなくなる
でもあの木はいなくならない
木の下の石ころも土もいなくならない
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夜になって雨が上がり星が瞬き始めた
時間は永遠の娘 喜びは悲しみの息子
あのひとのかたわらでいつまでも終わらない音楽を聞いた
〆
あのひとが来て