貝殻に閉じ込められた静寂に耳を澄ます。聞こえるはずのない潮騒が皮膚の中から爪を立てる。脈打つ樹の根はこの身体を抱かない。命の森はこの身体を呑み込まず押し潰すこともない。もう誰の声も聞こえない。雨のひとしずくが肌を打つ囁くような音に耳を澄ませて沙漠の夜にひとり眠る

「これでよかったんだ」

もう悲しんだりしない。




ゆめみたものは

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