「軽やかに生きるといいよ。所詮は人生さ」


語りえぬものについて我々は沈黙しなければならないって知っているくせにきみはいつまでも首をひねっているんだから呆れる。下手の考え休むに似たり、少し頭を使うべきだ。傷つくのが怖いだけなんだろう、大丈夫だよちゃんと分かっているから。自分でも気付いているのだろうにいつまでそうして惑っているつもり?


「とらわれることが恐ろしいんだよ。進むことも退くことも留まることもできない」
「難儀なことだね。夜闇を知らない梟とでもいった感じ」
「捕まえておいてくれる?」
「もちろん」
「離さないでね」
「離さないよ」
「でも本当は捕まえられたくないんだ」
「いいよ。誰よりも上手にきみを生かすよ」
「嘘はやめて、自由にさせて、見守っていてほしいんだ」
「わかってるよ。おいで。抱きしめてあげる」


こわばる身体、ややおいてうちとける身体。響く鼓動は痺れるほど愛しくて合わせ鏡のように胸糞悪い。食べちゃいたいくらい可愛いね。突き放されることも甘やかされることも恐ろしがる愚か者に語ってやれることなどどこにあるものか、なあ、僕はもう笑うしかないのだよ。夜目のきかぬ梟が白昼に羽ばたけるわけもないのに! きみよ、ただ微笑もて正義を為せ。ひとりでは寂しくて上手に笑えないんだ。とんだ茶番じゃあないか、彼女の欲しがる言葉は僕の欲しがる言葉でもあった。





〆光の森にて/歓落様へ提出

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