・赤砂のサソリについて考えていたら砂漠の民の文化について知りたくなったので和辻哲郎「風土」を読み始めました。(砂漠の人たちについて書いてある文献を他に思いつかなかった)
元々サソリに対する第一印象として、永遠って字面からしてどうもウソっぽいというのか、読者として共感しがたいところがあるよなあとわたしは思ってしまっていて…ほらいわゆる諸行無常だの散る桜だのうつろいゆくものに美を見出す文化の中に私たちは生きてきて、坂口安吾先生は永遠なんて傲慢だっておっしゃったしつい最近の椎名林檎さんだって永遠なんてそっけなくてほんの仮初めがいいと歌っていたし、そもそも永遠なんて観念的すぎてどうもぴんとこない…でも!それってこの湿潤な風吹く日本という国で育ったゆえの感傷的な価値観であって、厳しい砂漠の中に、いや、砂漠と対峙するように生きてきた民族からしたら儚さの美なんてそれこそウソっぽいのかもしれない…?!と考えるにいたり。
ところで拙作の中でかつてデイダラに「人間よ知ろうとするな」と詠わせたのは我ながら彼のイメージぴったりにできたなあと思っているのですが、サソリには世界に対して全く逆のアプローチをしてほしいなと思っています。サソリにはどんどん世界を、自然を、知り尽くし解き明かしねじ伏せようとしてほしい。自然に対して感謝なんかしないでほしい、サソリの見る夢は誰より愚かで清潔で傲慢でそして誰より美しいよ、荘厳なる人工の夢よ、夢こそまこと、永遠を見る砂漠の民よ…
(原作ではサソリさんエドテンして永遠とはなにかということに対して何やらしっかり答えを見つけて昇天されましたけれどもこの際それはいいの!また別の話よ!ここは二次創作屋さんだから!ね!)
砂漠の険しい環境が中東の一神教の厳しい戒律を育んだのだというようなことが「風土」には書かれていて(超ざっくり)、早速「砂隠れの悪しき風習もこうやってできたんじゃない?!」などとこじつけて遊んでいます。曰く、砂漠というのは湿潤なモンスーン地帯と異なり自然の恵みの乏しい土地であり、砂漠の人間にとっての自然とはつまり苛酷なるものであり、人間は自然に立ち向かい征服することで生存する…また人間同士も乏しい資源を巡って争うため戦闘的なるものが生存する。反面、コミュニティ内の統率力はとても強い。団結しなければ生き残ることが難しいから。(そして団結力を高める装置としての一神教…)「集団」に帰属しなければ生き残れない砂漠人からは砂隠れの傀儡の文化…サソリが操る無数の人傀儡を連想します…砂漠の民の文化の根底に「集団」性が強くあるのなら、その強さの分だけサソリの孤独も根強かったであろう…両親を失ったサソリが人傀儡を作るのも必然だったのかも…。砂漠においては孤独はほとんど死に直結するから、大げさに言えば生命の危機にも似た切実さがあったかもしれない。(天涯孤独のサスケですらまさか人傀儡を作るなんていう発想はなかったしましてや実行なんてしなかった)
とまあ、文献から都合いいところ抜き出してこじつける作業、楽しい。

そういえば青空文庫で同じく和辻哲郎先生の「偶像崇拝の心理」というのをこないだ読んだのですが夢見るような美しい文でした。掘り出しものだった、あれは随筆になるのかな?論説文としては少し情熱的すぎる!折口信夫「死者の書」の二上山のおもかげ人の描写を思い出しました。この「死者の書」は4回読みました、はじめはあまりにも難解で何度も挫折しかけましたが難解な中にも「これはとても美しい物語である気がする…!」というのが伝わってきて、回を重ね物語の構造が見えてくるにしたがってそれは確信に変わっていって、いやとても良い読書体験させてもらいました…!デイダラがイタチくんの眼差しに悟りの芸術を見出してしまったあのシーンを思い出したりもしました。デイダラの中でイタチくんはもう完全に二上山のおもかげ人だったと思います、うん。

・岡本太郎「美の呪力」を読みました。岡本太郎といえば爆発、爆発といえばデイダラ! とても気持ちの良い文章でわたし岡本先生になんだか惚れてしまいます。主に古代民族の各国の美術や文化についての評論?なのですが、岡本先生はいわゆるとりすました「美術」「芸術」が好きじゃないそうで、そのせいか?美術関連の教養が全くないわたしなんぞにもわかりやすく読み込めました。ぐんぐん読めます。「芸術は爆発だ」という言葉大好きなんですが、「芸術は呪いだ」という言葉も同じくらい岡本太郎の世界観を表現していると知りました。ああ岡本太郎の感性が好きだ…迷いを感じさせない熱っぽい文体で、「闘う」「引き裂かれる」等の言葉が多用されるのに優しいの。「夜」「血」といったモチーフを好みながら、まさしく太陽のように熱くて明るい。彼の言葉に触れてるだけで元気が出てくる。こんな陳腐な言葉でしか感想を言えない自分のもどかしさよ!ところで芸術家なのに文才まであるなんて、岡本先生多才だな!今当たり前のように私たちが知っている「縄文時代」という概念も、岡本太郎が縄文土器の火炎土器に芸術性を見出し世に広めるまで、日本人の大半は「知らなかった」のだそうです。まじかよ!!縄文時代を知らないなんてありえる…?!なるほど岡本太郎、学術分野にまで影響力甚大だったのか…!!納得の文才。
「芸術は呪い」…いやあすごくいい…特にデイダラは呪いという言葉が本当によく似合う。坂口安吾の「耳男」の芸術にも思いを馳せつつ…なぜならデイダラと耳男はよく似てる…自分を侮辱した相手を激しく呪いながら芸術に昇華しようとする反逆精神、死をも厭わぬ誇り高さ、耳男は両耳、デイダラは両腕を奪われるも絶対にへこたれない生命力!ところでわたしの大好きな坂口安吾は反逆精神という共通項でもって岡本太郎と並び称せられることがあるみたい。ネットサーフィンしてたら何回か見た。何気なく手にとったこの本が案外わたしの趣味の本質的なところに触れていたと分かり高揚している。わたしって本当は反逆したいのかなあ、何かに。(笑)

・「自選谷川俊太郎詩集」を買いました。一気読みしてしまったんですけどたぶん詩ってそうやって読むもんじゃない気がする。笑 「あのひとが来て」は少しロマンチックな香りがしていいね。谷川さんの詩は好きなのがありすぎて挙げきれないんだけど。合唱やってた身としては「ネロ」や「きみ」も外せないな。「なんでもおまんこ」は読むたびに笑い読み終わるたびに泣けてしまう。詩ひとつに笑ったり泣いたりしておかしいなって思うけど谷川さんの言葉はなんせ詩だ、魔力がある。
自選詩集って音楽でいうとベストアルバムみたいなものだから買わずにいられなかったんだけど、それが気に入れば次は全部のアルバムを網羅したくなるのが人の性というもので、長い目で見るともったいなかったかな…と少し悔やんでいるのが今。

・映画「アントマン」を観てきました。本当はキングスマン目当てだったんだけど席がいっぱいで。しかしアントマン文句無しに面白かった、観てよかった〜!アリサイズなのにめちゃくちゃかっこよかった!敬遠していた3Dに初めて挑戦したけど、聞いてたのと違って全く疲れなかったのでよかった。もっと早く試しておくんだったな。キングスマンはこんどは必ず予約でリトライするのだ。

・天然鮎のコース料理を食べにいきました。この前鉄腕ダッシュでやっていた鮎の塩焼きと鮎ご飯の様子がとっても美味しそうだったので。今回のコースでは素揚げの鮎、鮎の酢の物、鮎ご飯が特にお気に入りでした!
しかし中には…ワタがあまり得意じゃなかったわたしには少々…つらい料理が…ああ…。おいしくて、苦い…ああ自分のお子様舌がくやしい… ちなみにワタのことをうるかって呼ぶのね、知らなかった。甘辛ソースとうるかを混ぜたたれを茄子の素揚げに絡めた「うるか茄子」というのが絶品でした…!(苦かったけど)あと日本酒も苦手なんですがあのコースはぜっったい日本酒が合うやつだ、特に「子うるかの塩辛」、日本酒飲めないわたしですら確信を持ってそう言える…!かえすがえすも口惜しい( ;∀;)わたし何も考えず梅酒を注文してしまったのですが、梅酒と鮎料理の合わなさといったらなかったです…わたしの注文センス悪すぎかよ…。舌がもうちょっと大人になったらまた食べにいきたいな…!(もうすでにいい年だろというのはナシで!)

・とあるイスラエル発の素敵な靴屋さんが浅草にあるというので出かけていったのですが、浅草駅の地下鉄から地上へ出る際に使う通路に急に薄暗い、狭い、むっとした異様な空気のこもった、レトロな地下街が出現してびっくらこきました。ドキドキしたー!ちょっと、いやかなり、こわかったー!というかこんな風景、こないだ買ったpanpanyaさんの漫画で見たぞ!迷い込んだが最後出られなくなりそうな…夢に出そうな…わらうセールスマンとかいそう…(?)あと千と千尋の両親が豚になったとこの雰囲気にも似てるが寂れてる分だけ余計怖い…あんまり信じがたい光景だったのであとで「浅草駅 地下街」でググってみたらけっこう有名なスポットだったらしくて安心した、別に怖いところではなかった(笑)ただしググって出てくる写真見ただけではあの怪しい怖さは全然伝わってこないな、あれは実際行かないと分からない!心の準備してなかったせいか下手な観光地より心に残る場所でした。東京はおもしろくてたまにスリリングだな。靴屋さんには無事たどりつきました。足に吸いついてくるような優しい心地の素晴らしい靴たちであった

・Mステスペシャル観てました。普段は全然みないの、今回もちょっとしか見なかったけど、とても楽しかったー。丸の内サディスティックかっこよすぎた。歌って踊るアイドルの男の人たちを眺めていたらものすごく心和やかになってる自分がいました。幸運にも今までハマることないまま通り過ぎてきたけど正直じゃにおたになる素質はあったと思う… じゃにの中ではタッキーの顔が昔から安定して好き。というか芸能人の中で一番好きな顔かもしれない。声もよいよね〜。あとタッキーじゃないけど、きみのはだは褐色の葡萄〜みたいな歌詞があってちょっと驚いた。急に詩的だな。

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