ただ幸せが降り注いでいく 




よく晴れた日の午後。


「今日は、良い天気だなあ」
「そうですね。こんな日は眠くなってしまいます」

僕の隣で読書に耽っていた芽衣は小さく欠伸をした。
それから栞を挟んで本をぱたりと閉じた。

「そうだな。一緒に昼寝でもするかい?」
「ふふ、それも良いですね」

彼女は、幼さの残る顔に穏やかな微笑みを浮かべて、こてんと僕の肩に頭を乗せた。
窓から差し込む柔らかな光が芽衣の顔を照らした。

「…幸せだなあ」

相変わらず穏やかな笑みを浮かべる芽衣が、それはもう幸せそうに呟くものだから、僕の顔にも自然と笑みが刻まれる。

「…僕もだよ、芽衣。おまえと一緒にいることが、何よりも幸せだ」

華奢な肩を抱き寄せて、額や頬に何度も口付けを落とす。
この温もりが、隣にいる存在が、僕は何よりも何よりも愛おしい。

「…鴎外さん、大好きです」

紡がれた言葉に返事をするように、僕はその小さな唇を塞いだ。



よく晴れた日の午後。

愛しい人と過ごす、何よりも愛しい時間。



(僕はなんて幸福者なんだろう!)
 
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