逢瀬 




月夜の、逢瀬。


「やあ、芽衣ちゃん。半日ぶりだね。会いたかったよ」
「……私も。私も、チャーリーさんに会いたかった」
「ん?今日はやけに素直じゃないか。拾い食いでもしたのかい?」
「…もういい。そんなこと言うならもう二度と言わない」
「ははは、いいね、その君の冷め切った瞳。その瞳でもっと僕を凍えさせて、罵ってくれ!」
「チャーリーさんのばか!変態!」
「はははっ、冗談だよ。…君は怒った顔も可愛いね」
「……チャーリーさんのばか、」

チャーリーさんは、ずるい。
そんなに愛おしそうな顔で私を見つめないでよ。

するりとチャーリーさんは私の頬を撫でてから、指先で顎を軽く持ち上げた。

「…芽衣ちゃん、好きだよ」
「………ばか、」
「そういうところも、大好きだ」

ゆっくりと降りてくるチャーリーさんの唇。
それから、触れるだけのキスが何度も繰り返される。

「…んっ、」
「…僕はね、今こうして君に触れられることがすごく嬉しいんだ」

唇が離されて、それからチャーリーさんの手が腰に回って強く抱き締められる。
私もチャーリーさんにしがみつくように背中に腕を回して、ぎゅうっと強く抱き締めた。

「そんなの…私も同じだよ。今こうしてチャーリーさんに触れられて、チャーリーさんが抱き締めてくれて、チャーリーさんとキスができることが、すごくすごく嬉しい」

そう言うと、チャーリーさんの腕の力が更に強くなって、小さく耳元で「ありがとう」と囁かれた。

会えるのは、たった半日だけ。
月夜の、逢瀬。
この時間が、私はたまらなく愛おしくて、大切だ。

朝日が昇れば、離れてしまう。
だから私は、少しでも離れたくなくて、チャーリーさんを強く抱き締め返した。

濃紺の星空には、欠けた黄金色の月が浮かび、私達を照らし続けていた。



(ああ、どうか月よ、このまま隠れないで)


 
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