それを愛と呼ぶのなら 




「お、沖田さんは、意地悪です…!」

ぼろり、と彼女の大きな琥珀色の瞳から涙が零れた。

「どうしてそんな意地悪ばかりするんですか…!私のことが嫌いなら放っておいてください、」

嗚咽混じりの声。
はらはらと綺麗な涙が流れて、彼女の頬を濡らす。

「……千鶴ちゃんって本当馬鹿だよね」

低く呟いた言葉に彼女は華奢な身体をびくりと震わせ、それからまた大粒の涙をその双眼から溢れさせた。

ねえ、違うんだよ。
僕が、君を嫌いなわけないじゃない。
どうしてわかってくれないの。

「…本当、馬鹿だ」

馬鹿なのは、僕の方だよ。
君を傷つけて、泣かせて、君の涙を見てどこか安堵して。
ああ、本当に馬鹿みたい。
いっそのこと、誰か最低な僕を、殺してくれ。



(傷つけることでしか君を愛せない)
(それは、愛と呼ぶのだろうか)
 
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