「千鶴、はいどうぞ」
そっと私の頭に可愛らしい花冠が乗せられた。
白や黄色の野の花から甘い香りが漂う。
「ありがとうございます、総司さん」
「どういたしまして、僕の可愛いお嫁さん」
ふふ、と柔らかく笑って総司さんは額をこつんと私の額に合わせた。
翡翠色の綺麗な双眼が私を見つめる。
「総司さん、大好き」
「僕も大好きだよ。愛してる、千鶴」
総司さんと私が夫婦になってから一年が経った。
どこまでも穏やかで平和な日々。
決して贅沢な暮らしじゃないけれど、それでも私は総司さんと過ごすこの日々が何よりも幸せだ。
「…総司さん、総司さん」
「ん?なあに、千鶴」
微笑みながら小首を傾げる総司さんに顔を近付けて、それからその柔らかな頬に小さく口付けた。
「…花冠のお礼です。いつも、私ばかり貰ってばかりですから」
「……千鶴はずるいなあ」
珍しく総司さんは頬を赤く染めて、ぎゅうっと私を抱き締めた。
「ねえ、千鶴」
「なんですか、総司さん」
「僕を好きになってくれてありがとう。僕を選んでくれてありがとう。大好きだよ。これからも、ずっとずっと一緒にいてね」
抱き締める腕の力が強くなる。
私も負けじと強く強く総司さんを抱き締めた。
「そんなの当たり前です。総司さんを愛せて、愛してもらって、私はとてもとても幸せです。総司さん、ありがとう」
出逢えた幸せ。
愛せる幸せ。
愛される幸せ。
総司さんはいつでも私にたくさんの幸せを与えてくれる。
ーどうか、この幸せがずっとずっと続きますように。
11月22日良い夫婦の日。